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ヘルシンキの市電博物館

 フィンエアの機内誌で読んだ記事 (Streetcar of Desires, Blue Wings, Summer 2012: 26-33)に乗せられて,市電交通博物館 Raitiovaunu- ja liikennemuseo を訪れてみた。公式の略称は,Raitioliikennemuseo / Spårvägsmuseet らしいが,市民には Ratikkamuseo / Spåramuseet の愛称で知られているようだ。

 ヘルシンキの市電関連施設としてはもっとも古い (らしい) 1900年に作られた建物を,1993年に博物館に改造したもので,建物の通りに面した壁の標識を読むと,1900年当時は 「ヘルシンキ路面電車・乗合バス会社」 Helsingfors spårvags och omnibus aktiebolag とスウェーデン語で呼ばれる会社だったらしい。今は,ヘルシンキ市交通局 Helsingin kaupungin liikennelaitos - Helsingfors stads trafikverk (HKL - HST) と両方の言語で呼ばれるから,時代の流れを感じる。

 博物館の場所は,Mammerheimijtie マンネルヘイム通りを市電の4番で北へ行き,Töölön halli という乗り場で降りて,その手前の通りを左に100mほど入ったところ。通りには「エイノ・レイノ通り」 Eino Leinon katu - Eino Leinos gata という詩人の名前がついている。現役の市電車両整備工場の前を通っていけばいいので,すぐにわかる。

 屋内スペースのかなりの面積を Café Korjaamo 「修理工場カフェ」という kahvila が占めている。店のただ一人の従業員の女性に聞いたら,いつ頃から食事処が設けられたかは知らないが,自分が一年前に引き継ぐ前に友人が二年間この店で働いていたから,少なくともそのくらいは歴史があると言っていた。パンとコーヒー付きのサラダバーを選ぶと10€だから,ヘルシンキではふつう値段だろう。私は,野菜に加えて魚や肉も取れるオプションを選び,ビールも注文したので合計で18€の豪華な昼食になった。この店の中庭のテーブル席は,夏の日の午後,近所に住む子育て中の若い母親が乳母車を押して集う場所になっているようである。

 屋内には,馬が牽引していたころの市電車両を含めて,古い車両が数台展示され,古い映像を編集したビデオを上映するモニターが2台設置されていた。今ではありそうにない風景だが,かつては,市電の駆け込み乗車が行なわれ,道路でつまづいて転ぶ人もいたらしいことが,映像からわかる。市電は,運転手 (男) も車掌 (女) も花形の職業だったようである。

 現役の修理工場は勝手にふらっと入って見学できた。日本だったら,すぐに警備員がとんできて「関係者以外立ち入り禁止です。お帰りください」と,怖い顔で追い返されるのは必定だが,フィンランドだからその辺はきわめて鷹揚である。ただし,自己責任だから,事故にあっても,文句は言えないと思っておいたほうがいい。

 原則年に一度しかヘルシンキに来(れ)ない私には,毎年発見がある。街のATMにVISAカードを差し込む時,ICチップだけを読むようになって,カードを飲み込んでしまわなくなったこと,すべての市電乗り場にあるわけではないが,乗車券の自動販売機が置かれていて,ICチップ付きのVISAカードを所定のスロットに差し込めば切符が買える。空港についてからほぼ一昼夜経つのに,まだ現金を全く使っていないことに,切符を買おうとしてはじめて気づいた。使える場所が限定されたいろんな電子マネーが混在していて,いちいち確かめないといけない東京などと違って,クレジットカードと銀行カードがほぼ同じように街で使える。短期滞在の旅行者も VISA カードなどを1枚もっているだけですむので,とてもすっきりとした非常に便利な街だと思う。

ヘルシンキ市のシンボルマーク
HKL - HST

博物館の展示スペース
Ratikkamuseo

馬で車両を引いていたころの豪華な客車
Ratikkamuseo

車掌が銭湯の番台のようなところに座っていた時代があったようだ
Ratikkamuseo

整備工場にあったビール電車。載ってみたい。
HKL - HST


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