アルコール専売 80周年
独立直後の1919年に発効したいわゆる Kieltolaki 禁酒法がフィンランドで廃止され,代わりに酒類専売国営会社 ALKO アルコが開業してから,今年で80年になる。
記事: Ensimmäiset Alkon myymälät avattiin 80 vuotta sitten (YLE 2012/04/05)
関連ページ: Alko 80 vuotta ja pääsiainen (YLE Areena 2012-04-05) [音声]
現在アルコ株式会社 Oy ALKO Ab (Oy はフィンランド語,Ab はスウェーデン語の「株式会社」の略語) の名前で知られている会社の創業当時の名前は OY Alkoholiliike Ab 酒類製造販売株式会社 といういかにも国営企業意識そのままという名前だったらしい。禁酒法廃止の歴史的な瞬間は,543210 というカウントダウンとして,ある世代までのフィンランド人の記憶に鮮明に刻まれているという。1932年4月5日午前10時は,最初全国に48店舗設けられた国営の酒屋が一斉に開店した時間である。参考までに,1932年4月5日午前10時をフィンランド語で言うと viides (5) neljättä (4) vuonna kolmekymmentäkaksi (32) kello kymmenen (10) となる。
アルコのアルコール専売は,時代が下るにしたがって,次第に緩められてきた。1969年には,アルコール度数の低い,いわゆる keskiolut ライトビールが食料品店で買えるようになった。しかし現在でも,4.7%以上の度数のアルコール飲料の持ち帰り用販売は,アルコの店舗でしか許されない。
禁酒法が導入された100年前当時のフィンランド人のアルコール消費量は,1人あたり年間1リットルに過ぎなかったらしいが,現在のフィンランド人はその10倍も消費して言うというから面白い。アルコール販売が厳しく制約されていた時代を反映するのは,フィンランド語で食料品を売るスーパーを意味する maitokauppa 牛乳販売店(!)という呼び名や,レストランで強い酒を出すことのできる許可を意味する anniskelulupa のもつ思い響きではないかと思う。「酒類販売許可」のあるレストランでも,ひとり1回1杯ずつしか注文できず,酒場に仲間で飲みに行った場合,客のひとりが気を利かせて,全員の分をまとめて注文して支払をすませてテーブルに持ってくるということができなかったことを覚えているが,今も同じだろうか。
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