バルト海の放射能汚染
フィンランドの YLE のTVニュースによると,バルト海の放射能汚染はかなりのものらしい。
記事: Itämeri maailman radioaktiivisin merialue (YLE 2011/03/29) [動画あり]
福島原発の事故で,海の放射能汚染が話題になっているが,実は,太平洋のおかげで,一時的に高濃度で汚染されても,海岸に近い箇所は別として,沖合に出れば放射能の濃度はすぐに薄まってしまうのだそうだ。
これに比べると,バルト海は,事実上内海に近い上に比較的浅いので,放射性物質はいつまでも漂い続ける。放射性のセシウム137は半減期が30年と長いため,25年前のチェルノブイリ原発事故のときに飛んできたものはもちろん,冷戦時代の核実験で飛んできたものまで,まだしっかり残っているそうだ。それと比べると,バルト海沿岸諸国の原子力発電所から流れだす放射能の量は幸い少ないという。
バルト海の海水の放射能汚染が解消するには100年,海底に沈んだセシウム137の放射能が十分に弱くなるまでには300年もかかるらしい。加えて,中部フィンランドの湖は比較的浅いため,そこで取れる魚を毎日食べるのは危険で,せいぜい週に2日くらいにしたほうがいいと専門家は言っている。バルト海でとれた魚の放射能は1キロ当たり数ベクレル程度だが,湖の魚になると1キロあたり数千ベクレルになるものもあるそうだ。
フィンランドでは,1キログラム当たりの放射能が600ベクレル (600 Bq/kg)を超える魚を売ることは禁止されているそうである。参考までに,先日東京の浄水場で検出された水道水の放射能は,1リットルあたり210ベクレルだったから,水1リットル=1キログラムで換算すれば,そのまま 210 Bq/kg ということになる。ただし,一般家庭の蛇口から出る水道水の放射能はこれよりはずっと低かったはずである。ここ2~3日の東京の水道水の放射能は,文科省のホームページによると 10 Bq/kg 以下に下がっている。バルト海で取れる魚のなかには,これと同程度の放射能をもっているものがいるらしい。
記事には書かれていないが,映像のナレーションで言われていることがある。図を見るとわかるが,フィランド人が受ける放射線の半分以上は,実は地中のラドンが発生源のものらしい。ラドン起源の放射線を毎日の生活で浴びて肺がんになり,命を失うフィンランド人が毎年300人もいるそうである。
自然がいっぱいで健康的な国というフィンランドのイメージが,一瞬にして崩れてしまうニュースである。
【補足】 フィンランド政府は,原子力発電推進の方針を打ち出している。 [2011/10/06]
関連記事: 原子力発電を推進するフィンランド (2011/10/06)
バルト海におけるセシウム137の濃度

フィンランド人の受ける放射線の源 (多い順に,ラドン,自然放射線,医療,チェルノブイリ)

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