« 芸者チョコレート - Geisha | トップページ | 独立記念日 - Suomen itsenäisyyspäivä »

フィンランド国歌とエストニア国歌

 フィンランド国歌 Maameエストニア国歌 Mu isamaa, mu õnn ja rõõm が同じ曲だという話は結構有名です。どちらも,基本的には,ドイツ人の作曲家 Fredrik Pacius パーシウスが 1848 年に作曲した曲で歌っています。初めて聞いて同じ曲だと驚くのは,私のような音楽の素人でも,この方のように音楽教育を受けた人でも同じなのかもしれません。

 フィンランド国歌の不思議。 (すーぱーふみふみ:ホルンとフィンとアレルギー)

 実は,2つの国歌には,歌詞の違い以外にも違うところがあります。国旗と並んで,国歌は国の儀式に使われるものなので,標準的な歌い方がかなりきちんと定まっています。フィンランド国歌はふつう次の歌詞で歌われます。なお,歌詞の一番,二番とも,後半の4行を繰り返します。[ 日本語訳: Maamme - フィンランド国歌 「わが国」 ]

Oi maamme, Suomi, synnyinmaa, 私たちの国,スオミ,故国よ
soi, sana kultainen!          響け,この黄金のことば
Ei laaksoa, ei kukkulaa,        これほど愛すべき渓谷や山や
ei vettä, rantaa rakkaampaa    湖や岸辺が,どこにあるだろう
kuin kotimaa tää pohjoinen,     この北の故国のほかに
maa kallis isien.            愛する父たちの国のほかに

Sun kukoistukses kuorestaan    お前の繁栄がその殻を破り
kerrankin puhkeaa;           今こそ花を咲かせるだろう
viel' lempemme saa nousemaan   私たちの愛国心はさらに高まり
sun toivos, riemus loistossaan,   お前の希望が,喜びが光り輝き
ja kerran laulus, synnyinmaa,    そして今,故国よ,お前の歌が
korkeemman kaiun saa.       より高らかに響きわたるだろう

フィンランドの国歌の音声ファイルはネットでは上質なものが見つからないようなので,しかるべきCDを買うなどして確認してみてください。

 一方,エストニア国歌は,ふつう次の歌詞で3番まで歌います。繰り返し部分はありません。[ 日本語訳: EESTI HÜMN — エストニア国歌 ]

Mu isamaa, mu õnn ja rõõm,  祖国はわたしの幸福と歓喜
Kui kaunis oled sa!        あなたは本当に美しい
Ei leia mina iial seal       見つけることはできない
See suure laia ilma peal,     この広大な世界のどこにも
Mis mul nii armas oleks ka,    あなたほど愛しいものを
Kui sa, mu isamaa!        わたしの祖国よ

Sa oled mind ju sünnitand    あなたはわたしを生み
Ja üles kasvatand;        そして育てた
Sind tänan mina alati       わたしはいつまでもあなたに感謝し
Ja jään sul truuks surmani!    死ぬまで裏切らない
Mul kõuge armsam oled sa,    わたしのこの上なく愛しい
Mu kallis isamaa!         愛する祖国よ

Su üle Jumal valvaku,      神があなたを見守ってほしい
Mu armas isamaa!        愛する祖国よ
Ta olgu sinu kaitseja       神があなたの庇護者となり
Ja võtku rohkest’ õnnista’,   あなたを大いに祝福してほしい
Mis iial ette võtad sa,      あなたがいつ何を行おうとも
Mu kallis isamaa!         愛する祖国よ

正調エストニア国歌は,エストニア大統領府のホームページにある音声ファイルで聞くことができます。[Eesti Vabariigi hümn]

 また,歌い方としては,エストニア国歌のほうがテンポが早いように思います。エストニア国歌は,これだけ歌って1分30秒ほどで終わるのに対し,フィンランド国歌はほぼ2分かけて歌われます。

 このほか,豆知識として知っておくべきこととして,エストニア国歌は Johann Voldemar Jannsen ヤンセン (1819-1890) が書いたエストニア語の詩ですが,フィンランド国歌のフィンランド語の詩は,Johann Ludvig Runeberg ルーネベリ (1804–1877) のスウェーデン語原詩の比較的自由なフィンランド語訳です。外国人の私たちにはめったに聞く機会はありませんが,フィンランド国歌にはスウェーデン語原詩のスウェーデン語バージョンもあって,こちらも正式な国歌です。

 かなりマニアックな領域に入ってしまいますが,後にフィンランド国歌となるルーネベリの詩には,詩人自身が作曲した曲のついた楽譜も残されています。このルーネベリの曲で歌うスウェーデン語バージョンのフィンランド国歌が収録されたCD (1998, 2004) を私は2種類持っていますが,まったく違う雰囲気の歌に聞こえます。フィンランド国歌のスウェーデン語の歌詞を知らない人が,コンサートで何の説明もなしに,この合唱曲を聞かされて,これが Maamme のスウェーデン語バージョンだと気付くことはまずないだろうと思うほど違います。ルーネべりの詩は,合唱曲として歌うならこちらのほうがいいという人が多いと聞きましたが,私も聞いてみて,やはりその意見のほうに軍配を上げたいと思います。

 フィンランド国歌とエストニア国歌は,基本的に同じ曲なのですが,歌としてはずいぶんと違うと考えておいたほうがいいのではないでしょうか。

|

« 芸者チョコレート - Geisha | トップページ | 独立記念日 - Suomen itsenäisyyspäivä »

旅行・地域」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

言語」カテゴリの記事

歴史」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フィンランド国歌とエストニア国歌:

« 芸者チョコレート - Geisha | トップページ | 独立記念日 - Suomen itsenäisyyspäivä »