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フィンランドの小学校におけるいじめ

 フィンランドのエスポー市の学校が校則で,学校の中での写真撮影,ビデオ撮影,音声の録音を禁じていたことに関して,学校の敷地内での学校には写真撮影,ビデオ撮影,音声の録音を禁止する権限はないとう判断を司法当局が下したらしい。禁止は言論の自由の制限にあたるという解釈である。(Helsingin Sanomat 2010/08/07,投書欄 Mielipide)

 これに対して,学校側は,学校内における迷惑行為やいじめ (koulukiusaaminen) を防ぐこと,また,生徒の個人生活を保護すうのが禁止の目的であると反論していた。

 司法当局によるこの裁定に関しては,教師の側からは強い批判があるようだ。いじめに遭っている生徒の写真や映像が,休み時間に交換され,被害者の生徒が気づいたときには,もう取り返しのつかない状態になっていることがふつうで,これでは子どもが当然受けるべき保護を受けられないことになるではないか,というのである。

 フィンランドの学校教育は,日本ではバラ色の讃辞をそえて理想的なものとして紹介されることが多い。何事もそうだが,問題のない完璧なものはないということを忘れるべきではないと思う。ただし,もし日本の学校と違うとすれば,児童心理の専門家のほかに,親も子供たち自身も,いじめが起こったら明るみに出すべきだという意見を述べていることである。日本は,この点が必ずしもはっきりせず,あいまいなまま処理されていることが多いのではないかという気がする。

 この投書を読んで気になったので,Helsingin Sanomat のここ半年ばかりの紙面にいじめに関する記事をいくつかネットで検索して読んでみた (Helsingin Sanomat のサイトでは,有料だが,印刷版の過去の記事の全文を検索して読むことができる)。

 フィンランドの児童心理の専門家は,いじめを,暴力による身体的いじめ,言葉による直接的な心理的いじめ,仲間はずれなどの間接的な心理的いじめ,ネットワークを媒介とするいじめ (verkkokiusaaminen, nettikiusaaminen) の4つのタイプに分けている。最初の3つのタイプのいじめは,学校など,こどもたちが実際に顔をあわせている環境で行われるので,比較的察知しやすいが,ネットによるいじめは,匿名のメッセージや,写真の掲載という手段を用いて,学校より広い環境で行われるのが一般的なので,いじめの当事者を見つけにくく,また防止しにくい。フィンランドの小学生の高学年の子どもの10~15%は,ネットによるいじめの加害者または被害者であると言われる。

Helsingin Sanomat より

 Lapset toivoivat kiusaajille enemmän raigaistuksia (HS 2010/04/24)
 Verkkokiusaaminen yleistymässä (HS 2010/04/24)
 Nettikiusaaja nöyryyttää uhriaan (HS 2010/07/10)
 Koulukiusaaja tarttuu nykyään kameraan (HS 2010/08/07)

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