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1970年代の宮廷画家

 ヘルシンキの現代美術館 Kiasma で Ilja Glazunov ja Suomi / och Finland 「イリヤ・グラズノフとフィンランド」という特別展を8月29日までやっている。ケッコネン大統領生誕110年をきっかけにして,ソ連の画家の作品を通じて,ケッコネン時代のフィンランドとソ連邦の関わり,あるいは,芸術と政治との関わりを回顧してみようという企画らしい。

 一番の見所は,特別展のポスターにもなっているケッコネン大統領の等身大 (?) の肖像画 Urho Kekkonen (1973) と,ケッコネン大統領の作品とされるレリーフ (1975) である。後者には,ケッコネン大統領の有名な決まり文句 Niin on jos siltä näyttää (あなたのお考えの通りかと思います) が作品の傍らに書いてある。

 グラズノフの芸術家としての評価は分かれると思われるが,とにかく当時は,フィンランドの政治家や上流階級の女性たちがこぞって肖像画を描いてもらうほどの人気画家だった。ケッコネン大統領と同じ時期には,Marimekko の創業者 Ami Ratia の肖像 (1973) も描かれている。スウェーデンの現国王 Carl XIV Gustaf の肖像画の1つ (1974) も展示されている。国王即位直後のものだ。

 1970年代は,ソビエト連邦が安泰に見えた時代だが,ソ連の芸術家が,国外に出て芸術活動を行うことが許された例はそれほどないし,まして,外国の国家元首をスポンサーにして自分の作品の展覧会を外国で開くことができたとしたら,何か裏があったのだろうと勘ぐるのは当然である。展覧会に行けばそれが明らかになるわけではないが,いわゆる「フィンランド化」の現象を思い出すきっかけになる展覧会なので,ヘルシンキで時間があるかたはぜひ御覧になることをおすすめする。

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