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エストニア人と遺伝子研究 - Veri on paksem kui vesi

 タルト大学の27歳の研究者が,先週,エストニア人と近隣の16の民族の遺伝子を比較した研究を博士論文として発表した。

 記事: Eestlase genoom sarnaneb rohkem venelase kui soomlase omaga (Postimees 2012/10/25)
 記事: Eestlase geen lõimub loodevenelase omaga (Postimees+ 2012/10/25)

 それによると,遺伝子構成で,もっともエストニア人に近いのは,北西ロシア人,ラトビア人,リトアニア人,ポーランド人で,意外なことに,南フィンランド人は,エストニア人から遺伝子学的にはスウェーデン人よりも遠くに位置するということが明らかになった。ここで南フィンランド人という言い方がされるのは,遺伝子学的にさらに遠いと考えられるサーミ人と区別するためと思われる。

 詳しいことは記事からは分からないが,2人の被験者の遺伝子の並び方を調べ,その異なっている箇所の多い少ないを距離として,グラフ上にプロットしたという。

 この話は,気をつけて解釈すべきだが,言語的に近い言語を母語とするからといって,遺伝子学的にも近いとは限らないということになる。隣接した地域に,長い年月にわたって居住してきた民族は,婚姻によって,あるいは言語的・文化的同化によって,次第に交じり合って行くということになるのだろう。

 表題の Veri on paksem kui vesi. は「血は水よりも濃し」のエストニア語バージョンだが,比べている「血」と「水」が,フィンランド語やエストニア語では,verivesi のように,一文字違い,一子音違いの単語になるのが面白い。

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Veri on paksem kui vesi

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コメント

初めまして

ウィキペディアの日本語版 「エストニア語」の’ドイツ語の影響 ’の項目で:

「他のバルト諸国同様、エストニアにはドイツ系移民(過去の長い歴史の中で)が多く、このためエストニア語は語彙および統語法の両面でドイツ語の影響を強く受けている。
言語形態論的には、ウラル語族に多い’膠着語’からインド・ヨーロッパ語族に多い’屈折語’(総合的言語)への移行形態を見せている」。

と記述してあります。

これは文章(例文)で説明した時、どのような事を言っているのでしょうか? エストニア語が膠着語であるのか?、ないのか?、よく分かりません。
このことについて説明していただけたら、ありがたいです。

・膠着語(こうちゃくご、agglutinative language) とは、ある単語に接頭辞や接尾辞のような形態素を付着させることで、その単語の文の中での文法関係を示す特徴を持つ。
 日本語、朝鮮語、満州語、モンゴル語、ウイグル語、カザフ語、ウズベク語、トルコ語、フィンランド語、ハンガリー語、タミル語など。
・屈折語(くっせつご、inflectional language) とは、文法的機能を表す形態素が語の内部に分割できない形で埋め込まれる言語のことをいう。
 古代、中世のラテン語、ギリシア語、英語、ドイツ語、ロシア語、アラビア語など。

あっ、それとこんな説明も見つけました。

’エストニア語の格素性’
エストニア語とサーミ語で見られる現象は、語尾音消失が文法上の格の形式を説明する。たとえば主格では最後の母音に語尾音消失が起こるが、属格では起こらない。
その代わりに属格素性は語尾音消失を起こす。
「linn」(都市)と「linna」(都市の)は、それぞれ歴史的に「linna」「linnan」から発生したものである。

この説明、いまひとつ良く分かりません。 もっと分かりやすく説明していただけたらありがたいです。
宜しくお願いいたします。

投稿: お尋ねします | 2015/03/09 13:34

初めまして

ウィキペディアの日本語版 「エストニア語」の’ドイツ語の影響 ’の項目で:

「他のバルト諸国同様、エストニアにはドイツ系移民(過去の長い歴史の中で)が多く、このためエストニア語は語彙および統語法の両面でドイツ語の影響を強く受けている。
言語形態論的には、ウラル語族に多い’膠着語’からインド・ヨーロッパ語族に多い’屈折語’(総合的言語)への移行形態を見せている」。

と記述してあります。

これは文章(例文)で説明した時、どのような事を言っているのでしょうか? エストニア語が膠着語であるのか?、ないのか?、よく分かりません。
このことについて説明していただけたら、ありがたいです。

・膠着語(こうちゃくご、agglutinative language) とは、ある単語に接頭辞や接尾辞のような形態素を付着させることで、その単語の文の中での文法関係を示す特徴を持つ。
 日本語、朝鮮語、満州語、モンゴル語、ウイグル語、カザフ語、ウズベク語、トルコ語、フィンランド語、ハンガリー語、タミル語など。
・屈折語(くっせつご、inflectional language) とは、文法的機能を表す形態素が語の内部に分割できない形で埋め込まれる言語のことをいう。
 古代、中世のラテン語、ギリシア語、英語、ドイツ語、ロシア語、アラビア語など。
・孤立語(こりつご、isolating language) とは、形態的類型論における古典的な類型のひとつで、接辞などの形態的手段を全く用いず、一語が一形態素に対応する言語である。
 孤立語に分類される言語は接辞の付加やその他の手段による語形変化の体系を持たず、総合的言語において一般の語形変化で示されるさまざまな文法範疇が、文脈、語順、接置詞などによって表現される。
 中国語、チベット語、ビルマ語、ベトナム語、ラオス語、タイ語、クメール語、サモア語など。

あっ、それとこんな説明も見つけました。

’エストニア語の格素性’
エストニア語とサーミ語で見られる現象は、語尾音消失が文法上の格の形式を説明する。たとえば主格では最後の母音に語尾音消失が起こるが、属格では起こらない。
その代わりに属格素性は語尾音消失を起こす。
「linn」(都市)と「linna」(都市の)は、それぞれ歴史的に「linna」「linnan」から発生したものである。

この説明、いまひとつ良く分かりません。 もっと分かりやすく説明していただけたらありがたいです。
宜しくお願いいたします。

投稿: お尋ねします | 2015/03/09 14:02

ご質問,ありがとうございます。申し訳ありませんが,ウィキペディアを書いた人に直接お尋ね下さい。私はウィキペディアの項目の執筆に参加していません。

ひとつだけお答えできます。エストニア語がドイツ語との言語接触で受けた影響は,ドイツ語からの借用語の多さや,ドイツ語の分離動詞によく似た文構造に明らかです。

投稿: ブログの主 | 2015/03/09 23:48

ブログの主さま

お返事ありがとうございます。

エストニア語はドイツ語からの借用語が多いのですね。
それとエストニア語はドイツ語の分離動詞によく似た文構造である。
??? すみません意味がよく分かりません。

投稿: お尋ねします | 2015/03/11 18:20

ドイツ語をご存じでないとすると、分離動詞云々は、文法の問題なので、理解は難しいかと思います。ドイツ語の文法書を図書館でお探しください。

投稿: ブログの主 | 2015/03/12 20:41

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