タリンの市電 - Tallinna trammid
タリンの市電の路線は,1から4までの4系統で,始点・終点となる乗り場が4つある。
- Kopli - Kadriorg (コプリ─カトリオルク)
- Kopli - Ülemiste (コプリ─ユレミステ)
- Tondi - Kadriorg (トンティ─カトリオルク)
- Tondi - Ülemiste (トンティ─ユレミステ)
図示するとこうなる。ショッピングセンター Viru Keskus の北側,Narva maantee にある Hobujaama という乗り場にだけは4つの路線全ての電車が停まる。
Kopli ──┐ ┌── Kadriorg
Hobujaama
Tondi ──┘ └── Ülemiste
タリンの市電を運行しているのは,Tallinna Trammi- ja Trollibussikoondis タリン市電・トロリーバス会社。市電車両の車庫 trammipark は2箇所,1つは Kopli に,もうひとつは Tondi の手前,Pärnu maantee パルヌ街道沿いにある。
Kopli の車庫は,去年の夏たまたま見つけて,ぶらぶら見学していたら,市電の運転手をしている女性がやってきて,もう一箇所車庫があって,そっちのほうが大きいと教えてくれた。しかし,そのもう一つの車庫がどうしても見つからず,雨降りでもあり,諦めて宿に戻ってしまったので,ずっと心残りに思っていた。捲土重来,今年こそは見つけようと勇んで,ホテルのフロントで訊いてみることにした。ところが,ふたりとも地元の女性らしいのに,どうも知らないようで,私の勘違いではないか,という感じの応対だった。しかし,市電会社の職員が嘘を教えるわけがないと確信して,Tondi 行きの市電に乗って行ったら,去年はなぜ見落としたのだろうと不思議に思うくらいにいとも簡単に,Trammipark 市電車庫 と壁に大きく書かれた建物が窓から見えたではないか。ただし,気づいたのが最寄りの乗り場 Vineeri を過ぎてからだったので,終点の Tondi まで行って,戻ってくるときに下車することにした。なんと去年も同じ乗り場で降りていたのだが,少し戻らなければいけないのを,反対の進行方向に歩いてしまったので,肝心の Vineeri 通りが見つからなかっただけだということがわかった。ホテルに帰ってから,フロントの女性に Trammipark は実在するよと話したら,感動していた。教訓: 地元の人間の話を頭から信じてはいけない。
タリンも,Tondi の近くにまで来る観光客はまずいないから,日中の市電には数人しか乗客がいない。もちろん,市電の車庫にやってきて,怪しげなエストニア語でものを尋ねる変な外国人は皆無に近いだろう。Kopli の車庫は敷地にとくに仕切りがなく,勝手に入って行けるが,ここの車庫は,ゲートに遮断機があり,周りが柵と塀で囲まれ,関係者以外立入禁止になっている。さいわい,守衛所のような建物が見えたので近づいていくと,窓から私を見つけてくれた女性が守衛所のドアを開けて応対してくれた。これだけでも感激だが,事情を話して頼み込むと,最初は迷惑そうな顔をしたものの,職員以外通れないゲートから特別に敷地の中に入るのを許してくれた。少し歩きまわって,市電の車両が並んでいるのを写真に撮ったあと,ていねいに礼を言って出てきたが,とても得をしたような楽しい気分になった。
ここの車庫のすぐ近くには,市電公園と呼べそうな公園があって,市電の車両をかたどった記念碑がある。その上の塔に大きく 1888 と書いてあるところを見ると,タリンの市電の歴史は 1888年に始まるらしい。2008年には 120周年祭があったようで,一部の市電車両の窓には Tallinna tramm 120 1888–2008 と書かれたステッカーが貼ってあるのを,今でも見かける。今日行った市電車庫の建物の壁に TRAMMIPARK 123 AASTAT TRAMMIGA 市電とともに123年 と大きく書かれていたのは年数が合わないが,予算の関係で今年は書き換えてないのか,それとも9月か10月にならないと満124年にならないのか,どちらかだろう。4年前のステッカーがそのまま貼られていることを含め,エストニア人はこういった点が実におおらかである。せっかちな人間ばかりの日本でこんなふうにしていたら,津波のような苦情が押し寄せているに違いない。
タリンというと,旧市街とカトリオルク Kadriorg とその近くの Lauluväljak 合唱祭広場 (合唱祭公園) だけだと思っている訪問者が残念ながら圧倒的に多い。タリンは,しかし,ほかにもっといろいろある街である。キオスクでふつうに買っても1€しかしない1時間有効の切符で市電に乗って,ぜひあちこち見て回っていただきたい。ガイドブックにないタリンの姿が見られるはずである。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 冬時間へ移行 (2012) - üleminek talveajale(2012.10.29)
- エストニア人と遺伝子研究 - Veri on paksem kui vesi(2012.10.25)
- オオカミ犬 - hundikoer(2012.10.22)
- タリンの人気の凋落? - Tallinna populaarsus langenud(2012.10.05)
- エストニアを褒めちぎる(2012.10.02)
「交通・道路」カテゴリの記事
- エストニア全国で雪景色 - lumi ja lörts(2012.10.26)
- 共通電子乗車券 - ühiskaart(2012.09.12)
- 交通渋滞 - liiklusummikud(2012.09.05)
- ハープサル駅 - Haapsalu Raudteejaam(2012.08.24)
- タリンの市電 - Tallinna trammid(2012.08.19)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント