洗濯物と下着 - pesumaja vs pesupood
ハープサルのホテルに泊まっていた時,洗濯機で水洗いしてもらえばいい下着や靴下などは,ホテルに洗濯 (洗濯機1回 3€) を頼んだのだが,クリーニング keemiline puhastus を頼みたいものがあったので,町の洗濯屋 pesumaja に持っていった。
フロントで聞くと,ハープサルの町には洗濯屋が2軒あるという (グーグル検索でも同じ結果)。私はデパート kaubamaja の脇の地下にある店のほうが近いので,そこに行ってみた。洗濯屋は pesumaja (maja 家,建物) というが,地上にあるならともかく,階段を降りた地下にあると,イメージ的にはpesukelder (kelder 地下室,地階) と呼びたい気がする。実際,そういう洗濯屋が多いところが日本と違うようだ。東京の住宅地にあるクリーニング屋は,雰囲気が明るいし,そういう店のほうが客が集まる。ハープサルのそのクリーニング屋は,なんだか雰囲気が暗い。雰囲気が暗いと,ちゃんと洗ってくれるのかな,と不安な気持ちになる。翌日,洗濯物を取りに行ったら,こっちは挨拶したのに,引受証代わりのレシートの番号を黙って見て洗濯物を渡してくれただけで,あいそのかけらもない。前日話がついたわけだから,何も話す必要がないと言えばそれまでなのだが,その女性店員 (店主?) はひとことも話さなかった (笑) 安くていいのだが,オープンシャツなどは大雑把にたたんで,全部まとめて大きなビニール袋にいれて手渡してくれるだけだ。
エストニア語の pesu は,動詞 pesema 洗う から来ていて,衣類やシーツなどの洗濯物をさすと同時に,洗濯物の典型は下着なので,下着の意味にもなる。たとえば,エストニア語大辞典 Eesti keele seletav sõnaraamt は,pesu の意味を,洗濯 (pesemine),洗濯物,下着 (aluspesu) の3つに分けている。参考までに,2番めの意味の時には,洗う前の洗濯物 (must pesu - 汚れた下着類)と仕上がった洗濯物 (puhas pesu - 清潔な下着類) の両方をさすことができるから面白い。もっとも日本語でも,「洗濯物を出す」と「洗濯物を取り込む」では,エストニア語と同じ対立した意味で用いられている。少しことば遊び風になるが,「男物の下着の洗濯」と「男による下着の洗濯」は,meestepesu pesemine (pesu に強勢なし) と meeste pesupesemine (pesu に強勢あり) のように,理屈としては,同じ3つの単語の連続の真ん中の pesu に強い強勢を置くか置かないかで区別できるはずである。
その洗濯屋さんの隣のデパートの確か2階に,女性の下着の専門店がテナントとして入っていた。こちらは pesupood (pood 商店) という大きな「看板」があり,ガラス張りの明るい店舗で堂々と売っていた。ちなみに女性の下着が青空市場 turg で売られていることがあるのは,ロシアと同じだ。おみやげ用のTシャツだって元を正せば下着なのだから,ちっともおかしくないはずだが,パンツ類が青空のもとに陳列されている光景は目に毒だ。下着だから間違っても青空のもとで試着はしないだろうけれど,想象しただけで笑いがこみ上げてくる。
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