« 本のノミの市 - raamatutäika | トップページ | エストニアの滝 - juga »

ロシア語がEUの公用語に? - vene keelest EU ametlik keel?

 ラトビア語を唯一の公用語とするラトビアで,ロシア語を公用語に加えるべく憲法改正を行うかどうことを求める国民投票が行われようとしているそうだ。

 記事: Maris Ilves: kas vene keelest võib saada Euroopa Liidu ametlik keel? (Euroblogi 2011/12/22)
 記事: Kas vene keelest võib saada euroliidu ametlik keel? (Postimees 2011/12/25)
 記事: Läti seim hääletas vene keele vastu (Postimees 2011/12/22)
 記事: Maris Ilves: kas vene keelest võib saada Euroopa Liidu ametlik keel? (Postimees 2011/12/22)

 9月の総選挙で,ラトビア議会 Saeima の100議席のうち,31議席を獲得して勝利したロシア人系の政党「調和センター」 Saskaņas Centrs によって集められた署名数は187,378人で,国民投票を請求するのに必要な154,379人(有権者の10%)を大幅に超えた。

 ラトビア議会では22日,臨時会議が召集され,提出された憲法改正案に対する議決を行った。調和センターの議員が全員棄権して行われた裁決の結果は,賛成0票,反対60票。改正案は否決されたが,国民投票が2月18日に行われる。もし,国民投票で,全有権者の半数以上,すなわちおよそ771,000以上の賛成票が集まれば憲法改正が行われることになる。

 ロシア語系学校の授業をエストニア語化しようとしているエストニアと比べると,ラトビア語をめぐる社会状況はずいぶんと違うようである。

 もし,国民投票でロシア語の公用語化が決定された場合,EUの公用語をめぐる事情がどのような影響を受けるかについて,欧州委員会のエストニア代表部のブログでは次のような2つのシナリオがあるだろうとしている。

 ひとつは,ラトビア政府がEUに対して,現在23言語あるEUの公用語 ametlik keelと同じ地位をロシア語に与えるべく申請するシナリオである。この場合,すべてのEUの文書がロシア語に翻訳する必要が生じることを意味するから,EUは常勤のロシア語通訳・翻訳者を大量に雇用することになる。ただ,これが実現するには,EU理事会で全会一致の支持が得られた後で,すべての加盟国が個別に同意しなければならない。現状では,このシナリオの実現はまず不可能である。

 第2のシナリオとして,ラトビア政府が,EUにおける補助言語 täiendav keel の地位をロシア語に与えるべくEU理事会に提案を行うことが考えられる。これには前例があって,スペイン国内のバスク語,カタロニア語,ガリシア語に補助言語の地位が認められている。このほか,イギリスのスコットランド語ウェールズ語にも同様の地位が認められている。

 EUにおける公用語と補助言語の違いは,公用語の間の翻訳・通訳は,EUによって保証されるのに対し,補助言語と公用語との間の翻訳・通訳は,申請をした加盟国の政府が費用を負担して保証する点にある。具体的には,補助言語で書かれた文書は,当該国のEU代表部に送られて公用語に翻訳されて届けられ,逆に,公用語の文書は,必要に応じて,当該国のEU代表部によって補助言語に翻訳されて届けられるという扱いになる。

 ただし,補助言語として認定されるためには,EU理事会における全会一致の承認と,ラトビア政府とEU内のすべての組織との間の個別的合意という必須条件がある。このシナリオも,たとえばエストニアの代表が反対票を投じれば実現しないわけだから,現状では事実上,実現不可能と思われる。

Läti lipp

|

« 本のノミの市 - raamatutäika | トップページ | エストニアの滝 - juga »

社会」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

言語」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543873/53576179

この記事へのトラックバック一覧です: ロシア語がEUの公用語に? - vene keelest EU ametlik keel?:

« 本のノミの市 - raamatutäika | トップページ | エストニアの滝 - juga »