ロシア語系学校の抵抗 (2) - üleminek eestikeelsele õppele
エストニアのロシア語系学校は,今年度(2011年9月)から,授業の6割をエストニア語で教える新しいカリキュラムへ移行した。
記事: ERR: ühing loodab vene koolide eestikeelsele õppele üleminekut peatada (Postimees 2011/12/11) [映像あり]
歴史的とも言えるこのカリキュラム改革は,ロシア語系学校の教師や関係者の強い反対の中で行われたものであり,例外的に3つの学校に対して新カリキュラムへの移行への猶予が正式に認められただけでなく,ロシア語系学校の関係者の間で反対意見は依然としてくすぶっている。
争点としては,授業をエストニア語で行うか,ロシア語で行うかは学校が決めるべきだとするロシア語系学校の関係者と,教育省は,憲法の規定を根拠にして,子どもにどちらの言語の授業を受けさせるかを決める権利は親の方にあるから,親が望む場合は,(ロシア語系の)子どもにもエストニア語で授業を受ける権利を認めなければならないとする。
私の理解があるいは間違っているかもしれないが,ロシア語系の子どもがエストニア語で教育を受ける権利を制限するのは,憲法違反だとする教育省の主張に対して,ロシア語系学校の関係者は,ロシア語系学校でのエストニア語の授業の拡大に反対しているわけではないが,すべての子どもに母語で授業を受ける権利を保障すべきだと反論しているというのが,問題の大きな構図と思われる。
日曜日 (12/11) にタリンのロシア文化センターで集会を開いたロシア語系学校の関係者たちは,この問題を,エストニア政府だけでなく,国際機関にも訴えて,判断を仰ぐことを決めたという。
この種の問題は感情論になりがちだが,それをオープンに議論でき,またそれがオープンに報道されるというのは,日本人として見ると,とにかく羨ましい限りである。
関連ページ: ロシア語系学校の抵抗 - üleminek eestikeelsele õppele (2011/03/19)
組織,団体 ühing
ロシア語系学校 vene kool
エストニア語の授業への移行 eestikeelsele õppele üleminek
ブレーキをかける peatama
学年度 õppeaasta
失う,なくす kaotama
希望 lootus
ブレーキ pidur
国際的な rahvusvaheline
子どもの親 lapsevanemad
授業で使う言語 õppekeel
教育省 haridusministeerium
教育 haridus
憲法 põhiseadus
権利 õigus
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