雑誌の電子化 - kultuuriajakirjad digitaalselt kättesaadavaks
各国の公共図書館が力を入れていることに,学術雑誌,文芸雑誌などのバックナンバーの電子データ化の事業がある。エストニアの国立図書館も例外ではない。
記事: Eesti kultuuriajakirjad muudetakse digitaalselt kättesaadavaks (Postimees 2011/12/13) [映像あり]
記事: Eesti kultuuriajakirjad muudetakse digitaalselt kättesaadavaks (ERR 2011/12/13)
もともと公共図書館は,新聞などをマイクロフィルム化して保存する作業を継続的に行なってきていた。総合大学の中央図書館には,世界各国の新聞のバックナンバーのマイクロフィルムが大量にあって,それを研究者たちが研究に利用する風景が世界各地で見られた。これが,パソコンの普及とスキャナー技術の進歩の結果,保存のためのメディアがフィルムから電子データに変わり,今や,新聞のバックナンバーはパソコンのディスプレイで読むというのが当たり前の時代になっている。iPad のようなタブレット型端末の登場は,この時代の流れをさらに先に推し進めて,図書館に行かなくても,誰でも電子化された雑誌や新聞を読めるようにしただけである。
日本ではこういった電子化の作業を,自分の書斎の本や雑誌に対して自前で行うことを「自炊」と呼んでいるようだが,一時的なブームでいずれ廃れると思われる。早い話が,公共図書館が電子化したものをダウンロードしたり,ウェブブラウザで利用することができる時代はもうすぐそこまで来ているからだ。
エストニアの国立図書館もエストニア語の新聞雑誌について,こういった電子化を進めているが,日本語と比べれば,出版物の点数が少ないから,すべての出版物を電子化することは,費用は別として比較的容易である。すでにいろいろな出版物が電子化されて,世界のどこからでも利用可能な形で公開されている。
これと区別しなければならないのは,紙の印刷物としてではなく,最初から電子書籍端末で読まれることを前提にして行われる電子出版である。すでに新聞は,電子出版に移行しつつあるといっていいが,雑誌もこれを追っている。
エストニアでは,Looming, Akadeemia, Vikerkaar といった主要な文芸・学術雑誌が,電子版でも予約購読できるようになるらしい。電子化は基本的に印刷ページの忠実な電子コピー,つまり電子画像化である。ただし,昨今は光学的文字認識 (OCR) の精度が上がったので,画像データに自働文字認識された文字データを組み込むと,キーワードによるテキスト検索に近いことが行えるようになった。これに対して,電子出版は最初から完全な文字データが基盤にあるから,検索がより正確かつ容易になる。また,画像データと比べてファイルの大きさも格段に小さい。
外国語の研究をしている研究者にとっては,願ってもない時代が到来しつつある。これから世に出る出版物がすべて最初から電子出版されるようになれば,やがて,古い方から電子画像データ化行われてきた印刷出版物がひと通り電子化されつくした時点で,データ形式は少し違うものの,すべての出版物が電子的にアクセス可能になることが期待される。そのようなシステムの導入は,エストニア語のように小さな言語コミュニティーの方が,日本語のような大きな言語コミュニティーより,はるかに容易なのではないかと思われる。
国立図書館 rahvusraamatukogu
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