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大道商人 - tänavakaupmees

 エストニアでは,夏の週末は,全国各地で「○○祭」といった催しが開かれる。その一番有名で大掛かりなものが,全国合唱祭だが,もう少しローカルで気軽に行けるイベントが数多くある。

 西ヴィル県ヴィフラ村アルティヤ村落から15kmほど離れたところにある別荘地として有名な Käsmu カスムで先週末 (8/12-8/14) に開かれた Viru Folk ヴィル民俗音楽祭というイベントの最終日の午後を覗いてみた。

 この種の催しは,格好は「芸術祭」といった形だが,一般のエストニア人にとっては,日本の各地にある村の夏祭り的な意味合いが大きのではないかと思う。

 カスムの集落は,図のように南北に細長い木の葉が少し虫に食われたような形に開け,中央を主脈のように長い Neeme tee 岬通り が南北方向に通り,その両側に細い道が,東西に側脈のように分かれている構造をしている。その葉の真ん中辺りに bussijaam バスターミナルがある。バスターミナルと言っても,ロータリーのようになった広場と,時刻表やポスターが壁に貼られた,10人も入ればいっぱいになるくらいの小さな待合用の小屋があるだけだ。

 このバスターミナルから北が,民俗音楽祭の会場エリアである。30メートルほど行くと,通りの左手にアルコール検知器の置かれたテントがあり,その更に先にチケット売り場がある。この辺りから岬通りの左側(西側)には,音楽CD,コーヒー,Tシャツ,工芸品などを売る店がずっと続き,テントの下にテーブルとイスを置いた食事処もある。ビールやワインは,右側で,家の庭を開放して提供していて,ここでも簡単な食事ができる。こういったお店などに混じって,家の庭や,広場などがコンサート会場になってあちこちに散らばっている。

 昼の時間に開かれ,夜は店を畳むことと,綿菓子や焼きトウモロコシなどを売っていないだけで,縁日の夜店と似ているし,おでん,やきとり,焼きそば,日本酒,焼酎とは違う食べ物,飲物が置いてあるだけで,桜の名所の屋台の雰囲気と余り変わらない。 tänavamuusik 辻音楽師 (ストリートミュージシャン) と言えば聞こえがいいが,要するに大道芸人の親戚だし,口上を述べて人を集め,何やら素性のあやしい土産物を売っているパンク頭は,香具師やガマの油売りの仲間である。

 いくらインターネット銀行が普及しているエストニアとはいえ,3日間だけの屋台での飲み食いや香具師への支払いに電子マネーやクレジットカードは使えない。しかし,住民登録者数133人のカスム村落に銀行のATMがあるはずがない。そこで威力を発揮するのが,ATMを載せて村々に出張する pangabuss 銀行バス で,現金の必要な人が列を作って並ぶ。想像力が乏しい人は,たとえば胃の放射線検査に必要な医療機器一式を載せて都内各地を回って,検査を行なう医療検査用のバスを思い浮かべよう。あるいは移動図書館でもかまわない。大金を載せて森の中を移動する銀行バスが強盗に襲われないのが不思議だが,それだけエストニアは平和なのだろう。

 合唱祭だ,音楽祭だというからわかりにくいのであって,大鹿歌舞伎,遠山霜月祭,各地の灯篭流し,流鏑馬などと同じ役割を果たす地域共同社会のイベントの代わりだと考えると,わかりやすくなる。もともとエストニアには,この種のコミュニティーを上げてのイベントとしての伝統芸能が少なかったのかもしれないし,ソビエト体制化で行われた農漁業の集団化による村落共同体の崩壊で廃れてしまったのかも知れない。今,エストニア人たちは,○○祭という形で,村祭りの伝統を復活させようとしているのではないだろうか。

Käsmu küla

Viru Folk 2011

tänavakaupmees


tänavamuusik

pangabuss


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