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村上春樹のエストニア語訳 - Haruki Murakami eesti keeles

 1年半ぶりにチェックしてみたが,村上春樹文学のエストニア語訳事情は変わっていないようだ。エストニア語訳で読めるのは次の3作品に限られる。

 ・Haruki Murakami: Kafka mererannas. Tõlkinud Kati Lindström. Kirjastus Varrak, 2008. [海辺のカフカ]
 ・Haruki Murakami: Norra mets. Tõlkinud Kati Lindström. Kirjastus Varrak, 2006. [ノルウェイの森]
 ・Haruki Murakami: Lõuna pool piiri, lääne pool päikest. Tõlkinud Kristina Uluots. Kirjastus Eesti Raamat, 2003. [国境の南,太陽の西]

Haruki Murakami: Kafka mererannas. Varrak 2008. Haruki Murakami: Norra mets. Varrak 2006. Haruki Murakami: Lõuna pool piiri, lääne pool päikest. Eesti Raamat 2003. Banana Yoshimoto: Köök. Kirjastus Varrak, 2003.

 残念ながら3つとも売り切れで,出版社や書店に在庫はなさそうだ。私はどれも持っていないので,エストニア語訳の出来具合はわからない。「国境の南」の翻訳者の Kristina Uluots さんは知らない名前だが,あとの2つを訳している Kati Lindström さんは,よしもとばななキッチン」もエストニア語訳している。なかなか見事な訳だと思う。ただし,これも売り切れのようだ。

 ・Banana Yoshimoto: Köök. Tõlkinud Kati Lindström. Kirjastus Varrak, 2003.

 もうひとりの村上,すなわち村上龍のほうは,「イン ザ・ミソスープ」のエストニア語訳が出ていると,タルト大学で日本語を教えている宮野恵理さんが教えてくれた。ついでに紹介する。これはまだ在庫があるようだ。

 ・Ryu Murakami: Misosupis. Tõlkinud Kalju Kruusa. Kirjastus Eesti Päevaleht, 2009.

 ソビエト時代には,私が持っているものだけでも,三島由紀夫「宴のあと」,川端康成「雪国」,安部公房「砂の女」,開高健「三文オペラ」などなど,何人もの作家の作品がエストニア語訳されている。この時代は重訳の場合ロシア語訳が底本に使われた。翻訳される作家の名前とともに,外国文学のエストニア語訳のしかたそのものが大きく様変わりした。もちろん日本文学の翻訳者たちも世代交代している。今の世代の翻訳者たちは,ロシア語訳ではなくて英語訳を参考にするだろう。

 面白いものでは,「日本の民話」と題する本が3点 (2つはCD本) 出ている。CDでないものはソビエト時代に Saja rahva lood 世界の民話 シリーズの1冊として出た本の復刻のようだ。この本は人気があって当時は手に入らなかった。同じ出版社から出ているCDは,この本の朗読かもしれない。2007年に出たCD本は,おそらく効果音入りである。民話本はたいてい,どこかの外国語で出た本のエストニア語訳なので,再話のしかたが独特で,エキゾチックな話になっているものが結構あると思われる。

 ・Jaapani muinasjutte. Kirjastus Ajakirjade Kirjastus, 2006.
 ・Jaapani muinasjutte. CD. Loeb Aarne Üksküla. Kirjastus Ajakirjade Kirjastus, 2007.
 ・Jaapani muinasjutte. CD. Jüri Lina helilavastus. Kirjastus Easy-Living Music, 2007.

Jaapani muinasjutte. Kirjastus Ajakirjade Kirjastus 2006. Jaapani muinasjutte. Kirjastus Ajakirjade Kirjastus 2007. Jaapani muinasjutte. Kirjastus Easy-Living Music 2007.

 最近,Amazon Kindle の電子本で,小泉八雲の Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things (1904) を買って読んでみた。これが面白い。なぜ「怪談」がエストニア語に翻訳されないのか,と不思議に思ったのだが,考えてみると,民話・伝説のたぐいは,夜,子どもが寝る前に母親が読んで聞かせるというイメージが固定しているからではないだろうか。化物や幽霊の話を聞きながらすやすや眠ることのできる子どもがいたら,化物だ。

【更新履歴】 「村上文学のエストニア語訳」(2009/09/07) の大幅な改訂 (2011/02/03)

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コメント

「象の消滅」"Elevant haihtub" が出版されているようですね!
NYで編纂、出版された短篇集と同じ構成のものだと思います。

投稿: kass | 2012/08/15 18:49

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