エストニア語電子書籍を読もう - e-raamat
去年の12月あたりからWeb上の Apollo 書店に登場したエストニア語の電子書籍だが,着実に点数が増えているようである。
関連ページ: 電子ブックリーダー - e-luger (2011/01/23)
今月の電子新刊本のなかに,スウェーデンのスティーグ・ラーソン Stieg Larsson のいわゆる「ミレニアム三部作」のエストニア語訳があった。
Lohetätoveeringuga tüdruk (ドラゴン・タトゥーの女)
Tüdruk, kes mängis tulega. (火と戯れる女)
Purustatud õhuloss. (眠れる女と狂卓の騎士)
このサイトから購入する電子書籍のデータ形式は EPUB と呼ばれる国際的な規格に従ったもので,PCで読むには Adobe Digital Editions というソフトウェアをインストールすればいいことは1ヶ月前に書いたとおりである。
新たにわかったのは,Calibre (日本語版あり) というソフトウェアをインストールすれば Amazon Kindle 用のデータ形式に変換できることだ。Kindle 用に変換されたファイルは,パソコンと Kindle をUSBケーブルでつなぐ通常の方法で Kindle 側にコピーすればいい。早速試してみたが,最初の設定に少し戸惑ったものの,変換したソフィ・オクサネン「粛清」 Sofi Oksanen: Puhastus が Kindle で読めるようになったので感動した。
当然ながら,データ変換した電子書籍は PC 用の Kindle でも読むことができる。こちらはカラーである。なお,Calibre そのものが電子書籍リーダーだから,これをインストールしたら Adobe Digital Editions は不要になるのでアンインストールしてしまっても大丈夫そうだ。
【補足】 SONY の電子書籍リーダー Reader は,EPUB のデータ形式の電子書籍に対応していることになっている。銀座に行く機会があったので SONY のショールームに行って,事前に電話しておいた店員に頼んで試してもらったら,本文のエストニア語のウムラウト文字はきちんと表示されることがわかった。問題はメニューなどのハードウェア側の部分で,こちらはウムラウト文字が表示されず,X印つきのトウフが表示される。メニュー表示をデフォルトの日本語表示から,英語表示に切り替えても同じである。
このままだと,日本の電子ブックリーダーは,かつての NEC9800シリーズのパソコンと同じ運命をたどる可能性がある。日本語と英語しか表示できず,国際性がないからだ。NEC のパソコンは,国際的な拡張性がなかったから,いわゆる DOS/V パソコンに駆逐された。ワープロソフトでは,一太郎も同じ発想だったから,MS Word に勝てなかった。日本で売れればいいと考えるグローバルな視点を欠く発想と,多言語対応で日本語にも対応させるという発想とでは,たしかに最初は前者のほうが,日本語対応に長けていても,長期的には発展が頭打ちになって,後者に追いぬかれてしまうということに,日本のIT関連の開発者たちがそろそろ気づいてもいいころだと思うのだが。 (2011/02/25)
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