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タルトは3つある - Tartu linn / maakond / vald

 今回は Tartu タルト のカタカナ表記の話ではない。タルトという名前をもつ行政区分上の単位が3つあるという話である。

 エストニア共和国の行政区分の概要から始めると,まず大きく maakond 県に分かれている。ハリユ県 Harju maakond,サーレ県 Saare maakond などがそれである。ただし,短く呼ぶときは Harjumaa, Saaremaa などとなる。県知事は maavanem と呼ばれる。

 県の下にあるのが,日本風にいえば市町村だが,エストニアの場合は linn 市vald 町村の2つに分かれる。市長は linnapea, 町村長は vallavanem と呼ばれる。私の場合 vald を村と訳すか,町と訳すかは,人口が多そうな名前か,それとも過疎の村の名前のように響くかどうかで決めている (笑) なお,私の勘違いでなければ, Tallinn タリン市だけは,ハリユ県に属しておらず,1つの県と同等の地位がある。

 市 linn と町村 vald にはそれぞれ valitsus (政府)があり,市役所は linnavalitsus, 町村役場は vallavalitsus と呼ばれる。なお,日本語訳では「村」とすることが多いので紛らわしい, küla は「集落」に相当する。ただし,エストニア人にとっては,この küla が故郷を考えるときのよりどころになるから,出身地を言う場合には,こっちのほうの意味での村の名前のほうがむしろ重要な地名であるといえる。

 さて,問題のタルトだが,3つのタルトとは,タルト市 Tartu linn, タルト県 Tartu maakond / Tartumaa, そしてタルト村(町) Tartu vald である。タルト市もタルト村もともにタルト県に属しており,タルト市はタルト県の県庁所在都市である。地図で見るとわかるが,タルト市の北に広がっているのが Tartu vald である。

 エストニア語で Tartu と裸のかたちで使うと,タルト市をさす地名になる。これに対して,タルト県は Tartu maakond ないしは Tartumaa, タルト村は Tartu vald と呼んで区別する。

 県名と都市名が同じケースは他にもいくつかある。たとえば Pärnu パルヌがそうだが,使い方はタルトの場合と同じで,裸で Pärnu と言えばパルヌ市のことであり,パルヌ県を話題にしたければ Pärnumaa ないしは Pärnu maakond を使う。

 日本ではどうなっているか知らないが,私の故郷の長野県に関して言えば,地元で「長野へ行く」「長野で雪が降った」といえば,長野市のことである。ところが,東京では長野を「長野県」の意味で使うことがある。ある小説を読んでいたら,「長野出張」のために新宿発の松本行きの特急に乗ったというような話が出ていて,違和感を感じたことがある。もちろん,新宿発で山梨県や諏訪・松本を経由して長野市に行けないわけではないから,間違いではない。ただ,鉄道を利用する場合,ほとんどの人は東京発の長野新幹線を利用して「長野」へ向かうルートを選ぶはずだと思っただけである。長野県出身者は,松本へ行くことを「長野出張」とは絶対に言わないと思う。

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