店をたたむ - kinni panema
エストニアの東ヴィル県 Ida-Virumaa は,ロシア系住民が大部分を占める地区である。その北部,位置的にはナルバ Narva とラクベレ Rakvere (西ヴィル県 Lääne-Virumaa) の中間よりやや東寄りのところに Jõhvi ヨフヴィという町がある。
記事: Jõhvi viimane raamatupood lõpetab tegevuse (Postimees 2011/01/26)
記事: Jõhvi viimane raamatupood lõpetab tegevuse (ERR 2011/01/26)
この町で半世紀の間営業してきたエストニア語の本を扱う書店 Valgus (光)が今週限りで店を閉める。この書店は,ヨフヴィだけでなく,東ヴィル県全体でも,エストニア語を扱う唯一の書店だったという。書店の経営が苦しくなった原因は,不況の影響だけではないようだ。たとえば,タリンの大手出版社 Varaku のブッククラブに入って本を郵送で買ったり,車でラクベレまででかけてより品揃えのいい書店で買うことが多くなってきたという時代の流れもある。
東ヴィル県の書店は,ナルバとヨフヴィのロシア語の本を扱う小規模の書店だけになる。ただし,Selver や RIM などの大型スーパーの系列店の書籍コーナーではエストニア語の本を扱っているので,エストニア語の本がまったく買えなくなるわけではない。また,雑誌類はキヨスクで買うのが普通で,ときに本が売られていることもある。
今週いっぱいで閉店する書店の赤字は 6391ユーロ (72万円)とのこと。日本の経済に当てはめる場合は4~5倍して考えたほうがいい。店員を雇って営業してきた田舎町の本屋さんとしては廃業を選ぶしか道はないのだろう。記事は「東ヴィル県にはコンサートホールがいくつもあり,映画館も2つあるが,書店の時代はもう終わった」と結んでいる。
エストニア語の複合動詞 kinni panema は,字義通りには「(ドアなどを)閉じる,閉める」とういう意味で,お店について言えば,毎日の閉店についても,この記事のように店じまいについても使われる。この表現は,また「(ドアを閉めて人を)閉じ込める」という意味にもなり,受刑者を収監するときにも使うことができる。さらに,「(席,テーブル,部屋などを)予約する」の意味の動詞表現でもある。
最後の viimane
書店 raamatupood
終了する lõpetama
閉める kinni panema
エストニア語の eestikeelne
小さな pisikene
営業する tegutsema
店 pood
小規模な店 poeke
赤字,損失 kahjum
書籍コーナー raamatunurk
コンサートホール kontserdisaal
映画館 kino
書店 VALGUS 書籍 事務用品。文房具店も兼ねるから,子どもも大事な顧客である。
店内。表示値段の単位は数字の大きさから考えてクローン。ユーロでも表示しないと法律違反 (^_^)
最終営業日 2011.01.29 - 皆様,ご愛顧ありがとうございました。さようなら。
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コメント
日本でも電子書籍が増加するにつれ書店の数が減っているようですが、紙の本の良さもたくさんあると思います。
本を読む人の数が少ないというのもあるかも知れませんが、本屋さんが減ってしまうのは残念なことです。
投稿: D1994 | 2011/01/28 01:36