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持ち去る - kaasa võtma

 そういえばそうだったかもしれないと思ったが,ソビエト時代,ホテルの客室係は,客がチェックアウトしたあと,客室備え付けの食器類やシーツなどがなくなっていないかどうか,備品をひとつひとつ点検したそうだ。社会主義体制下では,ホテルの従業員の方が主役だったから,客が信頼されていないことがあからさまになっても構わなかったわけだが,資本主義になるとお客様は神様なので,もうエストニアのホテルでもそいういうことはしていない。

 記事: Hotellivaras ihaldab... teelusikat! (Postimees 2011/01/29)

 しかし,人間の本性は変わらないから,政治経済体制に無関係なく,ホテルの備品を失敬してチェックアウトする客は後をたたないらしい。たとえば,200室のホテルなら,350本程度のティースプーンのストックが2~3カ月でなくなるのがふつうだという。

 タリンのあるホテルの営業責任者 Kristi Lehtola さん(写真)によれば,もっとも盗難に合いやすい備品は,栓抜き,グラス,洋服ブラシ,ハンガー【*注】,トイレットペーパー,灰皿,スプーンだそうである。

 意外なことに,安いホテルほど盗難が多い傾向があるという。これは,高いホテルに泊まる客は,金持ちなのでホテルの備品に興味がないためと考えられる。とはいえ,スィートルームやビジネスクラスの部屋から,バスローブ,タオル,スリッパがときどきなくなることもあるらしい。

 あきれたケースもある。ある五つ星ホテルのロビーで,客がうっかり床に落としたスーツケースの口がぽっかりと開き,中からフィンランドのある五つ星ホテルとそのホテルのバスタオルとバスローブが,それぞれ一揃いまるごと出てきたことがあったという。

 また,タリンの旧市街の三つ星ホテルで,ある客がチェックインしてから1時間後に,部屋が気に入らないから交換してくれとフロントに言ってきたので,要望に応じたことがあったという。その客がチェックアウトしたあと,両方の部屋の窓からカーテンがきれいに消えていた。もっとも,その客は,間抜けにもクレジットカードで支払ってチェックアウトしたため,ホテル側は,カーテン代を部屋代に上乗せした金額をクレジットカード会社に請求したそうである。

 ただし,ホテル側も備品の紛失のすべてが意図的なものとは考えていないという。中にはスーツケースに詰めて持ち帰えってしまったことに自宅で気づくうっかり者もいるだろう。ホテルのロゴの書かれた灰皿やタオルを堂々と自宅で使っているところを知人に知られたら,恥ずかしいと思うのが普通の感覚だからである。

【*注】 以前,私はエストニアに行く時には,近所のクリーニング屋で洗濯物を受け取ると付いてくるハンガーをいくつかスーツケースに入れて持って行って,ホテルで使い,最後のホテルをチェックアウトするときにワードローブに置き忘れてくる習慣があった。最近,クリーニング屋さんに持って行くとポイントがついて,それを貯めると洗濯代の割引きに使えるので,いつのまにかそうしなくなった。


泥棒        varas
すり        taskuvaras
ソビエト時代に  nõukogude ajal
盗む        varastama
持ち去る     kaasa võtma
チェックアウトする lahkuma
部屋        tuba
五つ星ホテル  viietärnihotell
三つ星ホテル  kolmetärnihotell
うっかり落とす  maha pillama
スーツケース  kohver
開く        lahti minema
タオル      käterätt, käterätik
バスローブ   hommikumantel
スリッパ     sussid
安い       odav
空にする     tühjaks tegema
失せる      kaduma
宿泊する    ööbima
栓抜き      avaja
グラス      klaas
ブラシ      hari
ハンガー    riidepuu
トイレットペーパー tualettpaber
灰皿       tuhatoos
スプーン     lusikas
(ホテルの)フロント vastuvõtt
交換する    välja vahetama
カーテン     kardin
うっかり     hajameelne
恥        häbiasi
ポケット     tasku
財布       rahakott
差し引く     maha võtma
赤外線     infrapunakiir
戸棚       kapp
冷蔵庫     külmkapp


ホテルの客室でもっともよく盗難にあう備え付けの小物類。こんな女性が
部屋の備品だったら絶対に持ち帰る,などと考えたあなたは不謹慎です。
Mida odavam hotell, seda rohkem kaob: Tallinna hotelli Dzingel turundusjuht Kristi Lehtla demonstreerib pikanäpumeeste lemmik-kraami.

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コメント

1993年に、コズモデミヤンスクのホテルに泊まったときのことです。朝チェックアウトしようとしたら、同室に泊まった男性が「ちょっと待って、デジュールナヤを呼んでくる」と言って、フロア担当の女性を呼んで来ました。何が起こるのかと思っていたら、この女性は部屋に貼られている備品リストと部屋の備品とをチェックした後、宿泊者用のカード(滞在期間や部屋番号が書かれている)にサインをして渡してくれました。ホテルの出口では、それを見せないと外に出してもらえなかったのでした。

同時期にあちこちでホテルを利用しましたが、「内国人」と泊まったのは初めてでした。思い返せば、埼玉県戸田市のボート競技練習施設に北朝鮮の代表団が来た際、出発の朝に「部屋を確認してくれ」と言われたことがありました。きっと旧ソ連や北朝鮮では、すくなくとも内国人は、チェックアウトの際にチェックを受ける習慣があったのではないか、と考えました。

日本のホテルにロシア人が泊まった時、ミニバーの飲み物を無料だと思って飲んでしまうようなことはなくなったようです。
逆に、タシケントのホテルなどでは、無料のミネラルウォーターが毎日部屋に置いてあったり、部屋のインスタントコーヒーに「無料」と書かれてあったりするのですが、なんだか警戒して、誰かに確かめるまで手をつけられなかったことがあります。

投稿: papatanaka | 2011/01/31 22:47

記事には,ミニバーのことも書かれていて,図々しい客は,たとえ冷蔵庫の中身が空になっている場合でも,私は飲んでいないと言い張るそうです。

ソビエト時代の話としては,フィンランドのある町(レーニンの銅像があったといえばピンと来る人がいます)に招待されてホテルに泊まっていたロシア人たちが,ミニバーの瓶を公園で売っていたということを聞きましたが,真偽は確認していません。

投稿: ブログの主 | 2011/01/31 23:19

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