エストニアの国鳥・ツバメ - Eesti rahvuslind pääsuke
エストニアの国民の鳥 rahvuslind はツバメ suitsupääsuke (hirundo rustica) である。今年 (2011) を「つばめの年」と決めたのは,エストニア鳥類学協会 Eesti Ornitoloogiaühing で,ツバメは,同協会が選ぶ「今年の鳥」17代目である。
記事: Tänavuse aasta lind on suitsupääsuke (Virumaa Teataja 2011/01/02)
記事: Aasta lind 2011 on suitsupääsuke (Postimees 2010/10/08)
Wikipedia によれば,エストニアのツバメも日本のツバメも同じ科に属するらしい。英語では barn swallow と呼ぶそうだが,これが最も一般的な swallow なので,単に swallow といえば barn swallow を指すと考えていいようだ。エストニア語でも,ふつうはただ pääsuke と呼ぶ。参考までに suitsupääsuke は字義通りには「煙の suitsu +ツバメ pääsile」という意味になるが,なぜ「煙」なのか,この名前の由来はわからない。
ツバメは Wikipedia では LC (=least concern) というカテゴリに分類され,もっとも絶滅とは遠いところにいることになっているが,エストニアに飛んでくるツバメの数が,ここ10年ほどにわたって減少しているらしい。エストニア鳥類学協会がツバメを今年の鳥に選んだのは,ツバメについての国民の感心を喚起するためとされる。
エストニアに飛んでくるツバメの数が減っている原因の1つは,エストニア鳥類学協会によると,ヨーロッパ全体に起こっている農業形態や農村部の変化のため,ツバメの巣作りに適した場所が失われつつあることだという。また,家畜の数が減るとともに,家畜を畜舎で飼うようになり,ツバメが主たる食料とするハエ kärbes が減ってしまったことも影響している。さらには,ヨーロッパのツバメは,越冬地のアフリカ南部との間を往復するたびにサハラ砂漠上空を飛ぶことになるが,砂漠の拡大をはじめとするアフリカの気侯変動や越冬地の環境変化もツバメの移動に大きな影響を与えているという。
つばめの年の今年は,この鳥の生態や自然環境にしめる位置,また,どのようにすれば,エストニアにおけるツバメの巣作りを助けることができるかについての啓蒙活動が行われる。また,鳥類愛好家の協力を受けて,エストニア国内のツバメの生育状態や分布についての詳しい情報収集が計画されている。
【補足】
参考までに,エストニアの国花,すなわち国民の花 rahvuslill は rukkilill ヤグルマギク (ヤグルマソウ) である。
関連ページ: キフヌ島の植物 (2) - Kihnu taimed (2010/08/29)
国民の鳥,国鳥 rahvuslind
ツバメ suitsupääsuke
今年の鳥 aasta lind
鳥類学 ornitoloogia
選ぶ valima
数,多さ arvukus
巣を作る pesitsema
減少する vähemaks jääma
注意を喚起する tähelepanu pöörama
シンボルマーク vapp
巣作りの場所 pesakont
主食 põhitoit
ハエ kärbes
渡りの経路 rändetee
越冬地 talvituspaik
拡大する laienema
砂漠 kõrb
気侯 ilmastik
保護 kaitse
収集する koguma
鳥類愛好家 linnuhuviline
分布 levik
【更新履歴】 初稿 (2010/10/13); 改稿 (2011/01/02)
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