名誉ある引退 - väärikalt tagasi astuma
エストニア中央党の党首 Edgar Savisaar サビサール氏の選挙資金をめぐるロシアとの「黒い関係」が発覚した今度の事件に最終的にどういう名称が付けられて歴史に残るのかはまだわからないが,新聞では rahastamisskandaal 資金調達疑惑 という言い方がいちばん多く見られるようだ。このほか,そもそもの発端のラスナマエに建築中のロシア正教会の建築資金調達と関係づけて kirikuskandaal 教会スキャンダル という表現もある。サビサール氏は,正教会建築資金に上乗せする形で選挙資金をロシアから調達しようとしたとされる。正教会は,選挙直前の来年2月に完成予定だが,資金難に陥っているらしい。
どんでもないクリスマスプレゼントを贈られて,その去就が注目されていたサビサール氏だが,エストニア中央党は23日,国会議員団,タリン市議会議員団ともに全会一致で,サビサール氏の中央党党首とタリン市長の両方の続投を支持することを決定したようだ。タリン市で中央党と組んで与党を結成していて,サビサール氏が辞任しない場合,中央党との協力関係を打ち切ると決めていた社会民主党は,中央党との協力関係を解消すると発表した。タリン市の市役所では大幅な人事交代が行われることになる。
記事:
Juhtkiri: pöördepunkt (Postimees 2010/12/23)
Sotsid lahkuvad Tallinna koalitsioonist (Postimees 2010/12/23)
Keskerakonna juhatus: Savisaar peab jätkama (Postimees 2010/12/23)
Tallinna volikogu keskfraktsioon toetab üksmeelselt Savisaart (Postimees 2010/12/23)
関連ページ: ロシアから選挙資金? - Savisaar ja rahastamisskandaal (2010/12/23)
興味深いのは,この一連のできごとを,イギリスの週刊誌 The Economist がブログでいち早く伝えていることだ。しかも,事態をエストニア政府 (公安警察 Kapo ?) 寄りの見方で的確にとらえている。Kapo による「機密情報」のネット公開のタイミングといい,英語メディアへの情報伝達の早さといい,周到な計画で進められた感があり,サビサール氏は完全に先手を打たれてしまったように見える。しかも,この事件でサビサール氏と別荘や船上で密談を行っていたとされ,実名で報じられている人物はロシアの鉄道公団の総裁 Vladimir Jakunin 氏である。ロシアがまったく沈黙しているように見えるのは不気味であり,モスクワとタリンの間で利害が一致し,何らかの取引があったのではないかと勘ぐりたくなる。サビサール氏がモスクワにとっても邪魔になり,やっかい払いされたのではないか,といううがった見方があるのも頷ける。
こういう話は,考えを巡らし始めるときりがないし,私のような素人がいくら考えたところで,真相にたどりつけるはずがないので,このへんでやめておこう。
サビサール氏の去就については,The Economist 誌の12/21のブログはこう提案していた。エストニアの新聞 Postimees のオンラインサイトは翌日,その部分を忠実にエストニア語に翻訳して掲載した。
記事: Economist: parteikaaslased võiks anda Savisaarele võimaluse väärikalt lahkuda (Postimees 2010/12/22)
結果的には,中央党はサビサール氏を挙党一致で支持する立場を表明した。クリスマスの休暇のあと,事態がどう展開するか,しばらくはエストニアの政局から目が離せそうにない。
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