クリスマス・トント - päkapikk
クリスマスツリーは,クリスマスの1ヶ月前に立てるというくらいの認識しかないので,私はほとんど何も知らないが,タリンの市庁舎広場では,待降節 advent (*注) の始まる11月28日の日曜日に,サビサール市長やルーテル教会のタリン教区長が出席し,教会の合唱隊も参加して,クリスマスツリーを立てるお祭りが行われた。ツリーにはロウソクが灯され,市民はこの火をおすそ分けしてもらい,家に持ち帰った。
前日の土曜日の27日には,市庁舎広場のクリスマス市開きが行われたが,こちらはクリスマス商戦のための商業的な催し。クリスマス・トント総支配人 ülempäkapikk がクリスマス市の開始を宣言したらしいが,おおかたクリスマス市を市から請け負ったイベント会社の社長あたりがトントの扮装をしたのだろう。
記事: Galerii: Tallinna jõulukuusel süüdati esimene advendiküünal (Postimees 2010/11/28)
記事: Tallinn avas Raekoja platsil jõuluturu (24tundi 2010/11/27)
記事: Ülempäkapikk avab Tallinna jõuluturu (24tundi 2010/11/26)
関連ページ: クリスマスの市 - jõuluturg (2010/09/23) - クリスマスツリー - jõulukuusk (2010/10/07)
ソビエト時代,各家庭で密かにどうしていたかは知らないが,公にはクリスマス関連の行事はすっかりなりを潜めていたから,クリスマスツリーも,クリスマス市も,クリスマス・トントも,1990年代になって復活したとみたほうがいいのだが,その際,フィンランドあたりの現在の習慣がそのままに近い形で輸入された部分も決して少なくない。ただし,こういったキリスト教ないしキリスト教以前の宗教的な慣習は,エストニア語のことわざや慣用句,あるいは民間暦の祝日の形で,エストニア人の集団的な記憶として,ソビエト時代を生き残って現在に至っているものだ。どこかの国のハロウィーンなどのような舶来品とは意味が違うわけで,たとえば,すっかり廃れてしまった灌仏会の風習を再び復活させることを想起するといいと思う。
エストニア語の päkapikk は,フィンランドの joulutonttu クリスマス・トントにあたり,サンタクロースの格好をした小人である。エストニア語にも tont ということばがあるが,幽霊を意味する。タリンに Päkapikk という名前の託児施設がある。[ Lastesõim Päkapikk ] 子どもが扮することが多いが,トントは小人であるだけで,本来は子どもではない。
(*注) 待降節 advent というのは,降誕祭,つまりキリストの誕生日 (12/25) を待ち望む期間という意味らしい。
クリスマスツリー jõulukuus, jõulupuu
火をつける süütama
教会の信徒組織 kogudus
合唱隊 koor
持ち帰る kaasa viima
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