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甘いもの好き - maiasmokk

 タリンの旧市街の Raekoja plats 市庁舎広場の北側から細い道 ─ Saiakang 白パン小路─ を抜けると三叉路の広場 ─ Suurgildi plats ─ に出る。トーンペア Toompea から下りてきた坂道 Pikk jalg から門をくぐると Pikk tänav 長通りになるが,この通りを道なりに歩いて最初にある広場である。広場を起点に右に分かれる通りは,最初の建物 Pühavaimu kirik 聖霊教会の名前にちなんで Pühavaimu tänav 聖霊通りと呼ばれる。Pikk と Pühavaimu の2つの通りに挟まれた細長い二等辺三角形の広場の底辺になっているのがカフェ Maiasmokk の建物である。

 カフェの名前になっている maiasmokk は美食家,甘い物好きの人を指すエストニア語である。英語の観光ガイドで Sweet Tooth Café (甘党のカフェ)と呼ばれているカフェ Maiasmokk が営業している現在の建物は1867年に建てられたものだが,この地はその60年前の1806年,エストニアの最初のお菓子屋さんが開業した場所で,エストニアの菓子製造業の発祥の地とされる。このカフェがいるごろから現在の名前で呼ばれているのかは知らないが,独立時代の名前がソビエト時代になっても改名されずに受け継がれ,今に至っている。実は私は,ソビエト時代の末期から,独立回復直後の時期に何度か中に入っただけなので,今どんな店になっているのか知らないが,ソビエト時代も有名な店だった。Wikipedia などによると,この建物のお菓子屋さんは,1867年から martsipan マルチパン (マジパン) を売り始めたという。今も Maiasmokk のマルチパンは有名だが,ソビエト時代にはその伝統は途絶えてしまったと思われるので,今売られている martsipan のレシピは新しいものだろう。

 最新のニュースによると,カフェ Maiasmokk のある建物が,チョコレートで有名なエストニア最大の菓子メーカー Kalev に競売で売却されたそうである。ソビエト時代には国有財産化されていたが,その後はタリン市の所有になっていたらしい。落札価格は325万クローン (2350万円)。タリンの旧市街の不動産の相場を知らないが,日本の感覚ではずいぶんとお買い得な値段ではないかと思う。今 Maiasmokk のファンがもっとも心配しているのは,Kalev が Maiasmokk を閉店して,この建物を別の業種の企業に転売してしまうのではないかということだ。見守る必要がある。

 チョコレート会社の Kalev は,1921年に創業した菓子工場 Kawe がその始まりらしいが,会社のホームページをみると,1806年創業であるかのように書かれている。そのようなイメージを前面に出している Kalev が,よもや自社の「創業の地」にある有名なカフェ Maiasmokk を閉店することなどありえまい,と思うことにしたい。

 記事: Kalevi kommivabrik ostab Maiasmoka kinnistu (E24 2010/11/04)
 関連ページ:Pikk Street and cafe 'Maiasmokk' (Meeli Tamm)

製菓工場      kommivabrik
不動産       kinnistu
競売で       avalikul enampakkumisel
カフェ        kohvik
テナント,占有者 rentnik

Maiasmoka kohvik Pikk tn 16/Pühavaimu tn 1

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