布教活動と文化活動 - kultuuripäevad
先月の最後の週末にエストニアで開かれた「韓国文化祭り」なる催しについての議論が2ちゃんねるで先週行われたようです。私は2ちゃんねるそのものにアクセスしたことがなく,2ちゃんねるの議論のダイジェストを載せたサイトで知りました。
問題のイベント (10/310-31) については「キリスト教の1宗派の布教活動である」ということで,エストニアのマスコミは取材・報道を最小限に自粛したようですが,その中で異例だったのは,この催しの直前に,エストニア・テレビが,主催者の宗教団体 (万民中央協会?) を批判するドキュメンタリー番組を流したことです。2ちゃんねるの情報では,日刊紙 Postimees も紙面で,宗教団体を批判する特集を組んだようです。
記事: Lõuna-Korea kultuuripäevadel promotakse ususekti (ERR 2010/10/27) (韓国文化祭りは宗派的な布教活動) [映像あり]
映像の中では,問題のイベントに出場予定でキャンセルした人気歌手 Tõnis Mägi,エストニアのキリスト教会の全国組織の代表者,後援することを取りやめたタリンのラスナマエ区 Lasnamäe 区長など,このイベントの準備段階でイベント関係者と何らかの関わりをもった人たちが出演して,宗教団体に批判的な証言をしています。また,このイベントのエストニア側の実行責任者 Sergei Semjonov 氏についても否定的な紹介が行われています。
エストニア挙げてのネガティブ・キャンペーンが行われた決定的な理由は,おそらく,問題の宗教団体が,韓国大使館のお金で行われるイベントであるかのように匂わせて,話を持ちかけたところにあると考えていいようです。この番組のなかで,数年前の韓国でこの宗教団体をめぐって起こった暴力的事件のニュース映像などが使われているところから判断して,韓国とエストニア両国の政府の間で何らかの合意があり,韓国外務省経由で資料が提供されて,番組が製作された可能性が高いと思われます。
関連記事:
Lõuna-Korea kultuuripäevadel promotakse ususekti (Postimees 2010/10/27) (韓国文化の日は宗派的な布教活動)
Korea ususekti üritus meelitas kohale täismaja (Postimees 2010/10/30) (韓国宗教団体のイベントの会場は満員)
«Kultuurifestivalil» jäid imed sündimata (Postimees 2010/10/30) (《文化の祭典》 で奇跡は生まれず)
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コメント
先月、ETV の Akutuaalne Kaamera ではこの話題の他、韓国での合同結婚式の様子を放映してました。
北朝鮮といい韓国の宗教的な話題といい、エストニアのテレビ放送を見ていると KOREA って気味が悪いと思います。
韓国人とエストニア人とは正反対の国民性だと思います。
逆にエストニア人には日本人に近い国民性を感じます。
投稿: Technolainen | 2010/11/16 22:07
合同結婚式というと,統一教会ですか。1990年代には,タリンに北米の統一教会から派遣されたという日本人夫婦が住んでいたようですが,その後噂を聞かなくなりました。
この話題ですが,私は韓国人と日本人の国民性の違いというレベルの話としては考えたくない気がしています。日本にもオーム真理教のような宗教団体があるし,国際的な布教活動をする宗教団体としては,創価学会インターナショナルのような組織もあります。宗教団体には,民族の違いを超えた共通性のようなものがあるような気がしています。
エストニアで行われた韓国発の宗教団体に対するネガティブ・キャンペーンは,宗教団体を対象として行われたものであって,韓国という国家やその国民を対象として行われたものではないと考えます。
ところで,ソビエト体制を体験してきた世代は,共産主義という強烈な宗教を体験したので,宗教イデオロギーに対する免疫があるのではないでしょうか。でも,ポスト・ソビエト世代の若者には,そういう免疫がないだろうから,今後どうなるかはわかりませんね。
投稿: ブログの主 | 2010/11/16 23:41