ルーテル教会の統合 - kirikud ühinevad
エストニアの福音ルーテル教会は,これまで,ソビエト体制下のエストニアで活動を続けて今日に至った Eesti Evangeelne Luterlik Kirik (EELK) とソ連邦による占領を逃れて西側に亡命した聖職者と信者たちが維持してきた Eesti Evangeeliumi Luteriusu Kirik (E.E.L.K.) の2つの組織に分かれ,それぞれに peapiiskop 大監督 (archbishop) がいるという変則的な状態が続いていたが,11月13日,1つの教会組織に統合する協定の調印が行われた。統合なったエストニア・ルーテル教会 (EELK) の peapiiskop は現在タリンに在住する peapiiskop Andres Põder 氏が努め,国外のエストニア・ルーテル教会組織 (E.E.L.K.) は,EELK の海外教区の位置づけになる。
記事: Väliseesti ja kodueesti luterlikud kirikud ühinevad (Postimees 2010/11/12)
1つの教会組織への統合までにソビエト体制崩壊から20年近くかかったわけだが,手間取ったのは,おそらく,海外のエストニア人信者たちの教会組織の正統性の判断に基づく反対が根強くあり,反対派の説得に時間がかかったからではないかと思われる。この問題に関しては,1993年に両者の代表がストックホルムに集まり,エストニア・ルーテル教会は1つであり,2つの教会があるわけではない,とする基本的立場を確認していたというが,具体的な統合への動きが始まったのは,統合協定の原案が作られた昨年秋のようだ。この原案は,今年の2月に 国外の教会の各支部に送られて意見が求められたが,それを議題にしなかった支部もあったらしく,6月に国外のルーテル教会の peapiiskop Andres Taul 氏は,カナダのエストニア人コミュニティの新聞に意見記事の形で,その原案を公開し,統合への支持を訴えた。この記事には,教会組織統合までの道筋がよくわかるようになっている。
記事: Andres Taul: Kirikute ühinemine (Eesti Elu 2010/06/11)
記事: Kirikute ühinemine (Eesti Kirik 2010/06/14)
ソ連邦に併合される前の1930年代には,エストニアの住民の 78 %がルーテル教会に属し,正教会の信徒の割合は 19 %だった。現在,エストニアの主要な教会は, ロシア正教会 (信者20万人),ルーテル教会 (信者 18万人),エストニア正教会 (信者 27,000人) である。教会に所属する人々の割合が少ないのは,ソビエト時代の「無宗教政策」の結果である。
関連ページ: ルーテル教会と正教会 - luteri kirik ja õigeusu kirik (2010/11/17)
関連ページ: トーンペアのロシア正教会 - Aleksander Nevski katedraal Toompea (2010/03/09)
在外エストニア人の väliseesti
本国のエストニア人の kodueesti
ルーテル教会 luterlik kirik
統合する ühinema
海外に,外国で välismaal
活動する tegutsema
締結する sõlmima
一体性 ühtsus
協定 leping
大監督(プロテスタント) peapiiskop cf. 大司教
礼拝 jumalateenistus
占領下時代に okupatsiooni ajal
亡命者 põgenik
交渉,話合い läbirääkimine
独立の回復 iseseisvuse taastamine
祝う,記念する tähistama
復元する taastama
教区 piiskopkond
エストニア国外で väljaspool Eestit
【補足】 教会の信者数についての数字を最新のものにするために本文を改訂 (2010/11/17)
| 固定リンク
「歴史」カテゴリの記事
- 森から発見された人骨 - viie inimese luustikud(2012.09.20)
- エストニアのスウェーデン人 - rannarootslased / estlandssvenskar(2012.09.02)
- 下関・タリン間の国鉄切符 - Shimonosekist Tallinna(2012.08.30)
- ハープサル城の幽霊 - Haapsalu Piiskopilinnus ja Valge Daam(2012.08.26)
- ハープサル駅 - Haapsalu Raudteejaam(2012.08.24)
「社会」カテゴリの記事
- 麻薬中毒による死 - narkosurmad(2012.11.16)
- エストニア国籍は住民の85% - Eesti kodanike osakaal(2012.09.01)
- エストニアの言語状況 - Eestis räägitakse 157 keelt(2012.08.31)
- タリン市長のブログ - Tallinna linnapea blogi(2012.07.11)
- 公式メールアドレス - ametlik e-posti aadress(2012.06.26)
「伝統・慣習・宗教」カテゴリの記事
- 酔いが覚める - kainenema(2012.01.02)
- エストニア風のクリスマス寿司 - jõulusushi(2011.12.21)
- クリスマスツリーのお値段 - jõulukuuse hind(2011.12.19)
- クリスマスの小人 - päkapikud(2011.12.02)
- 三度目の正直 - kolmandat korda(2011.11.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント