耳鳴り - kõrvakohin
耳鳴りは,耳の周辺の病気,ないしは神経系の病気が原因で起こる症状である。日本語ではふつう「耳鳴りがする」というが,エストニア語では Kõrvus kohiseb (耳の中で音がする) のような言い方をすることが多い。
記事: Kõrvus kohiseb, viliseb, undab...
日本語では,「ザーザー」「ゴーゴー」「ギンギン」「ブンブン」などののような擬音語・擬声語を使って音の違いを表すことができるが,エストニア語でも,音の違いによって,いろいろな動詞を使い分ける。動物の鳴き声が言語によってかなり違う子音と母音の組み合わせで表されるのは有名な話だが,擬声語・擬音語は,耳で聞いた印象を母音と子音の簡単な組み合わせで表そうとしているだけなので,言語によってまちまちで,本来翻訳不可能である。翻訳しようと,似たような音を表すと考えられる擬声語・擬音語を対応させても,大雑把な感じがつかめる程度で,どこかしっくりと合わないところが残るのがふつうである。
kohisema:風の音,川の音など
vilisema:高い鋭い音
undama, huugama:低い響くような音
日本語でも「ザーザー」「ジージー」「キンキン」「ギンギン」など,母音を替えたり,子音を替えたりすると,やや音色の違う音を表す語をいろいろと作ることができるが,エストニア語でも,-sema で終わる動詞の場合,母音や子音をいろいろ替えると,いろいろな音が表せる。たとえば
hohisema, kihisema, sihisema, vilisema, vulisema, sulisema, helisema, ...
-sema で終わる動詞はまた,動詞語幹の -se を -n に替えると音そのものを指す名詞になる。
kohin, kilin, sihin, vilin, vulin, sulin, helin, ...
英語の動詞 ring 「鳴らす」は擬音語に由来すると思われるが,「電話をかける」という意味でも使われる。同じように,エストニア語の動詞 helistama 「電話をかける」も, 明るい響くような音がすることを意味する自動詞 helisema に対応する他動詞で,もともと「響かせる」のような意味をもつ。なお,この動詞の語根 heli は,音楽などの音色のある音を表す名詞として使われる。音声学でいう「声」の意味でも使われて,有声音は heliline (= heli がある), 無声音は helitu (= heli がない) と呼ぶ。
参考までに,人間の声は hääl だが,これは,音一般の意味にもなる。つまり,エストニア語には,日本語の「声」や,英語の voice のように,人間の発する音声を表す特別な名詞がない。なんと不合理なと思う人がいるかもしれないが,良く考えてみると,声と音を区別している言語は,物理学的には同じ現象を,音源が人間や動物の音声器官であるかないかで区別しているだけの話。こういうのを人間中心的な物の見方という。それに,この区別は聞いた印象に依存しているからきわめて主観的かついい加減なもので,人間は,人間の声に似せて合成された音が機械から聞こえてくると人間の声であると錯覚してしまう。電話で受話器から聞こえる相手の「声」や,映画やテレビの画面で美人俳優が話す「声」にしたところで,所詮すべて人間の声に似せた合成音をわれわれは聞かされているだけだ。この2つが組み合わさるとテレビ電話になる。
耳 kõrv
耳鳴り kõrvakohin, tinnitus
聞く,聞こえる kuulema
声,音 hääl
聴覚系 kuulmissüsteem
神経系 närvisüsteem
錯覚 petteaisting
耳科医 otoloog, kõrvaarst
悩む,苦しむ kannatama
障害になる häirima
集中力の低下 keskendumisraskus
気分がふさぐこと meeleolulangus
睡眠障害 unehäire
頭痛 peavalu
病気 haigus
要因 tegur
心臓 süda
血管系 veresoonkond
中枢神経系 kesknärvisüsteem
血圧 vererõhk
貧血症 kehvveresus
耳垢 kõrvavaik
埃 tolm
防水の veekindel
急激な järsk
悪化する halvenema
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