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樫の木の言い伝え - püha tamm

 エストニアの西ヴィル県 Lääne-Virumaa, ラクヴェレ Rakvere の南方にある旧領主の館 Kiltsi loss (キルチ城) の庭園にあった「聖なる樫の木」が切り倒された。8月の嵐で幹の枝分かれの1つが折れ,むき出しになった幹の内部が枯れてしまって,危険になっていたためである。この旧領主邸には地元の学校があり,庭園は公園になっているため,生徒や住民の安全を考慮して切り倒すことが決まったという。

 記事: Kiltsis langetati augustitormis viga saanud püha tamm

 木を切り倒す当日 (9/15) は,学校の先生や生徒たちのほか,館のある町 Väike-Maarja の町長らが出席して,木の根元で,お別れの式典を行った。町長と校長先生が弔辞を述べて別れを惜しみ,この聖なる樫の木の謂われに詳しい理科の先生が,言い伝えを次のように生徒たちに話した。

Selle tamme juurte all asuvat rahapada. Legend ütleb, et ristineljapäeva öösel saab seda varandust pärast kella 12 siit kätte.
 この樫の木の根の下には,お金を生み出すなべが埋まっていると言われている。言い伝えによると,聖なる木曜日の夜中の12時過ぎになると,そのお金を掘り出すことができる。

 エストニア語の pada (深なべ - cf フィンランド語 pata) は英語の pot と意味も形もよく似ているが,語源的に関係があるのかどうかについては決め手がないらしい。聖なる木曜日 ristineljapäev は,復活祭から40日目の木曜日,すなわち「キリスト昇天祭」 (英語 Ascension Day) のこと。

 エストニア語の mõis は,フィンランド語の kartano に当たることばで,英語ではふつう manor house と訳されている。旧荘園領主などの貴族の邸宅のことである。エストニアの統治をロシア皇帝から任されていた荘園領主たちはドイツ人で,彼らの邸宅 mõis はエストニアの各地にあって,それらにまつわる伝説も数多くある。

倒す     langetama
聖なる    püha
樫の木   tamm [英語 oak]
城,館    loss
死出の旅  viimne teekond
枝分かれ  haru
折れる    murduma
腐る     mädanema
危険     oht
切り倒す  maha saagima
厳かに   pidulikult
根      juur
お金     raha
深なべ   pada
弔辞    järelehüüe
建物    hoone
荘園領主邸 mõis

樫の木の切手
Postmark_tamm

聖なる樫の木とのお別れの会に集まった生徒たち
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樫の木の伝説を話す Mall Võhandu 先生
Pyha_tamm02

学校の前に横たわる切り倒された樫の木
Pyha_tamm03

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