ヘルシンキとエストニア - Friedebert Tuglase Selts
ヘルシンキのエストニア・センター (Eesti Maja - Viro-keskus) の開所式の記事の写真に知った顔があった。エストニア・センターの中心組織となるフィンランドの Eesti Instituut / Viron Instituutti の親組織,エストニアの Eesti Instituut のマルト・メリ所長 Mart Meri と,ヘルシンキ大学教授のリホ・グリュンタール Riho Grünthal のふたりだ。この2人が一緒に写っている写真があった。一番左の人物は知らないが,フィンランドの文化・スポーツ大臣 Stefan Wallin 氏があいさつしたというから,この人がそうかもしれない。そう思っておこう。
リホ・グリュンタールは,先週末72歳で亡くなったセッポ・スホネン教授 Seppo Suhonen の後任で,西の方のウラル諸語,すなわち,バルト・フィン諸語やボルガ諸語を主な守備範囲としている。8月のハンガリーでの国際学会のとき,ある会議のあとの打ち上げの食事の席が隣同士だった。この写真では,教授の貫禄たっぷりだが,実際の彼は,少し童顔のせいか,若くて活きのいい魚のような雰囲気がある学者である。
マルト・メリは,故レンナルト・メリ大統領 Lennart Meri (1929-2006, 大統領在任 1992-2001) の息子で,タリンで何度も会ったことがあるし,メールも交わしているのだが,個人的にはほとんど話したことがない。しばらくぶりに写真を見たが,だんだんと父親の体形に近づいているという印象を受ける。独立後のエストニアの男たちの間で流行っている体形のようだ。以前の彼は,遥かにウェストが細かったという記憶がある。
Eesti Instituut は,レンナルト・メリが発起人となって1989年に設立された組織で,民間の団体ではあるが,エストニアの外務省や文化省との関係が緊密である。フィンランドのほかに,ハンガリー,スウェーデン,フランスに支部組織があり,海外でエストニア語やエストニア文化に関係のある分野で研究をしている大学院生に奨学金を出したり,海外でエストニア語を教えている大学の教員などに教材を提供するなど,日本の国際交流基金に相当する役割をもつ団体である。
記事: Soomes avas uksed uus Eesti Maja
参考: ヘルシンキのエストニア・センター - Helsingi Eesti Maja (2010/09/16)
参考: Eesti Instituut の出版物
エストニア・センターは,このほか,ヘルシンキとその周辺に住む数万人のエストニア人のための施設としての役割を果たすことになっている。具体的には,子どもたちのためにエストニア語で遊んだり,学んだりする機会を計画しているようだ。おとぎ話を聞く会が週末に催されたり,エストニア語を勉強するためのクラスが開かれたりするそうである。
なお,ここに移転する図書館は,エストニア語の蔵書の点では,エストニア国外で最大規模の図書館になるというが,1982年に設立された Friedebert Tuglas -seura (フリーテペルト・トゥクラス協会) という親睦団体によって収集されたものである。トゥクラス Friedebert Tuglas (1886-1971) は,20世紀の初めの帝政時代時代末期から,旧独立時代,ソビエト時代を通じて創作活動をした作家である。移転前のエストニア・センターの住所 Mariankatu 8 は,トゥクラス協会の事務所がずっと置かれてきた場所である。
家 maja
ドア,扉 uks
教育,教養 haridus
文化 kultuur
文化団体,文化施設 kultuuriasutus
文化交流 kultuurisuhted
協力 koostöö
伝説に残る legendaarne
所在地 asukoht
協会,会 selts
近過去の歴史 lähiajalugu
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