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タリンの娯楽施設 - Solarise keskus

 去年の10月9日にオープンした建物のようで,今回のエストニア旅行ではタリンにほとんどいなかったので結局まだ行ったことがないのだが,Solarise keskus (ソラリス・センター) という築1年の新しい建物がいろいろと話題になっているようだ。同じく keskus (センター) という名前が付いているが,タリン・デパートとヴィル・ホテルの間の Viru keskus がショッピング・センターであるのに対し, Solarise keskus は,映画館,コンサートホール,レストランなどが主体の「娯楽施設」 という位置づけらしい。

 参考: Täna avati Solarise keskus (ERR, 2009/10/09)

 私がよく利用する Apollo 書店がそこに大きな店舗を開いたことを知ったのが,この建物に対する興味がわいたきっかけである。これまでは Viru 通りの店舗を利用していたのだが,タリンに立ち寄った先々週 (8/18) 行ってみたら閉店の張り紙があった。がっかりしていたところ,その1週間前の日付の記事で,Apollo の新店舗のことがわかった。

 記事: Viru tänava raamatupood sulges uksed (2010/08/12)

 旧市街がどんどん変わっていくことについては,話を別の機会に譲るとして,ここでは,問題の娯楽施設に話題を絞ろう。この建物は,かつて共産党の殿堂 Sakala keskus (1985 年完成,写真参照) があった場所に建てられたものだ。この Sakala keskus は,完成当時から評判が悪く,当時のエストニア共産党議長のカルル・ヴァイノ Karl Vaino (1923年生) の名前をもじって Karla katedraal (カルル大聖堂) と人々の間で呼ばれたことは私も知っていた。エストニア語のウィキペディアを見たら,この他に Pühavaino kirik (聖ヴァイノ教会), Leniniitlaste klooster (レーニン会修道院) とも呼ばれたらしい。参考までに,前者が旧市部の Pühavaimu kirik (精霊教会), 後者が jesuiit (イエズス会士) をもじったものであることはすぐにわかる。 エストニアのことわざに「いい子には名前がたくさんある」 (heal lapsel mitu nime) というのがあるから,実はこの建物は案外好かれていたのかもしれない。

 Karl Vaino は名前はエストニア人だが,ロシア生まれ,ロシア育ちのためエストニア語が上手に話せず,党の会議をすべてロシア語で行ったと言われていて,いい評判は聞いたことがない。この人を退けて,ソ連のチリ大使に左遷されていたゴルバチョフ派の ヴァイノ・ヴァリヤス Vaino Väljas (1931-) がエストニア共産党の議長になったあと,エストニアのペレストロイカ (自由化) が進んだことは周知の通りである。なお,有名な「歌う革命」は,日本のマスコミが報じたような草の根運動ではなくて,エストニア共産党公認の合唱祭であったことは,司会者が合唱祭広場の観客席に座っているヴァリヤス共産党議長夫妻を観客に紹介している映像が残っていることからも明らかである。人民戦線にしても,最初は,共産党がしっかり手綱を握っていたのである。

 Sakala keskus では1980年代の終わりには,エストニアの主権に関わる共産党の決議が行われるなど,エストニアの政治の中心的な舞台となったが,1990年には,ミス・エストニアのコンテストの会場ともなって,市民のための施設として再出発するかとも思われた。

 このようないわくつきの場所だった Sakala keskus を,塔の部分だけ残して解体し,その跡地に建てられた Solarise keskus だが,オープン直後から災難に見舞われている。昨年10月13日,すなわち,オープンの4日後の午後3時,3階の映画館 Cinamon の天井が落下した。幸い上映時間ではなかったので,けが人は出なかったらしいが,事故後の現場からの実況映像をまだインターネットで見ることができる。たいへんな騒ぎだったようだ。その同じ映画館で,今年の7月にも,天井からものが落ちてくる事故があったらしい。

 記事: Solarise kinos kukkus ripplagi alla (2009/10/13)
 記事: Solarise kinolaest kukkus taas tükk alla (2010/08/18)

 日本的に考えると,何かの祟りに違いないから,この際,占い師に頼んで祟りの原因を明らかにしてもらい,祈祷師を呼んで魔除けのお祓いをしてもらったほうがよさそうだ。さて,何が祟りの原因かと言うことになると,共産党の怨霊以外には考えられない。ちなみに,近くにあるエストニア外務省の建物もかつては党の施設だったが,そこでもしばらくの間亡霊が出たという。こっちはジョークだろうが,ソビエト体制崩壊後20年,あたらしい怪談話が生まれつつあるかもしれない。

ショッピング・センター  ostukeskus
娯楽センター       meelelahtuskeskus

オープン直後の Solarise keskus (2009年10月)
Meelelahtuskeskus Solaris

取り壊される前の Sakala keskus (2005年当時)
Sakala keskus. Pildistatud november 2005 aastal.

天井落下事故のあった映画館
Solarise keskuse kino, kus ripplagi alla langes.

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