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いちごのトルテ - maasikatort

 エストニアのタリン市のヴィル広場 Viru väljak と,ナルヴァ市の国境検問所のある「友好の橋」とを結ぶ全長212キロの国道をタリン・ナルヴァ国道 Tallinn-Narva maantee と呼ぶ。ヨーロッパの都市を結ぶヨーロッパ街道 E20 の東の終端である。この国道は,タリン市街を出てすぐのところから約80キロにわたって,片側2車線,中央分離帯のある高速道路となっている。

 タリン・ナルヴァ国道を東へ数十キロ,道幅が狭くなるかなり手前の Kuusalu クーサルで左に折れて,北東方向に進んで,半島 (Juminda poolsaar) の西海岸に出ると,Kolga-Aabla という村に出る。この村のレストランでしか食べられないという,エストニアでいちばん有名なリキュール Vana Talinn を使ったいちごのトルテがあるらしい。このエストニアのひなびた村のレストランで,自慢のいちごトルテを注文して味わうと,イングリッド・バーグマンの出演する映画の雰囲気を味わえるというから,特別なケーキに違いない。

 レストランの女将 Merrit Kiho が気前よく明かしてくれたという秘伝のレシピを,ケーキなど焼いたことのない無骨者による日本語訳で紹介する。この訳がもし万一役に立ったときは,ぜひご一報ください。

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いちごのトルテ maasikatort

生地 põhi
 ・バター 200g
 ・鶏卵 3個
 ・砂糖 200 cc
 ・小麦粉 300 cc
 ・ベーキングパウダー 小さじ1杯
 ・おろし金でおろしたレモン1個分の皮

詰め物 täidis
 ・ルバーブジャム 200 cc [他の適当なジャムでもよい]
 ・リキュール Vana Tallinn 100 cc
 ・いちご たくさん
 ・生クリーム 大きなパッケージのもの一袋
 ・砂糖 大さじ3杯
 ・粉砂糖 少々

 直径22センチの型にクッキングペーパーを敷き,その上にバターを塗り,パン粉を振りかける。バターを溶かし,そのまま冷ます。

 卵と砂糖を混ぜてよく泡立て,バターとおろしたレモンの皮をいれてかき混ぜ,さらに小麦粉とベーキングパウダーも加えてかき混ぜる。型に流し込み,200度のオーブンで30分間焼く。生地を冷まし,2層になるように水平に切る。

 上下の生地にリキュールをかけて吸わせ,そのあとルバーブジャムを塗る。

 下の生地に砂糖を加えて泡立てた生クリームをのせ,その上に半分に切ったいちごを置く。上の生地をかぶせ,その上にイチゴのトッピングを置き,粉砂糖を振りかける。

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 記事: Üks ütlemata suvine maasikatort
 参考: イチゴ - maasikas (2010/06/06)
 記事: イチゴ (2) - maasikas (2010/06/17)

 ケーキの種類や名前の由来はとんと知らないが,ものの本によるとトルテとタルトは元来同じ起源らしい。大雑把に言うと,トルテはドイツ語 Torte から,タルトはフランス語 tarte ないし英語 tart が日本語風になまったものである。物の本によると,その起源はラテン語の torta (tortus 「丸い」の女性形) らしいから,母音がオのドイツ語のほうが古い本来の形である。

 ラテン語を祖先にもつ言語のうちの主要なものは,スペイン語 torta,イタリア語 torta のように母音のオを保っているのに,フランス語だけが tarte と母音がアになまってしまっているのが面白い。英語はそのフランス語訛りをさらになまって使っているわけだが,いずれにしても,ア系の呼び方は少数派である。ちなみに,エストニア語は,ドイツ語と同じオ系の tort である。なお,エストニアの文脈で「タルト」と言うと,大学町のことである。お忘れなきよう。

いちご      maasikas
トルテ      tort
ケーキ      kook
女将       perenaine
裏切る,漏らす reetma
秘密       saladus
基礎,生地   põhi
詰め物     täidis
生クリーム   vahukoor
(焼き菓子などの)型 küpsetusvorm
クッキング・ペーパー küpsetuspaber
かまど,オーブン ahi
リキュール   liköör

エストニア秘伝のいちごのトルテ
Maasikatort

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コメント

いつも楽しく読ませていただいています。

>パン粉

パンを作る粉=小麦粉の意味でしょうか? 日本語で「パン粉」というと、コロッケの周りについているあの粉のように感じられます。

>ふくらし粉

今は「ベーキングパウダー」という名称が一般的だと思います。

>ダイオウ

漢方の薬草としてだと「ダイオウ」で、野菜、ハーブとしてなら「ルバーブ」の方が通りがよいように思います。日本では、長野(!)が産地として有名なようで、道の駅や土産物屋でジャムやドライフルーツが売られています。


最後の一文「エストニアの文脈で「タルト」と言うと,」のくだりには笑ってしまいました。
いつもとはおもむきのことなる、楽しい記事をありがとうございました。

投稿: papatanaka | 2010/07/20 08:13

ありがとうございます。自分で作らない人間が訳せるはずがないのですが,思ったほど間違いは少なさそうなので,気をよくしています。問題点はさっそく修正をするつもりですが,1点だけコメント。

> 日本語で「パン粉」というと、コロッケの周りについているあの粉のように感じられます。

ふしぎなのですが,原文は riivsai すなわち「おろし金でおろした白パン」なのでこう訳しました。これだけが,材料のリストに載ってません。材料のリストに載っている「小麦粉」は,生地を焼くときに使うものだろうと思います (第2段落)。

> 野菜、ハーブとしてなら「ルバーブ」の方が通りがよい

「ルバーブジャム」にします。

投稿: ブログの主 | 2010/07/20 13:13

なるほど、「パン粉」でいいんですね。失礼しました。

ルバーブは、長野、山梨の道の駅などでは、ジャム、ドライフルーツなどの加工食品のほか、生でも売られています。私は割りと好きなのですが、妻と子には不評です。。。

投稿: papatanaka | 2010/07/27 04:11

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