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エストニアの文化遺産 - kultuurimälestis

 エストニアの建築というと,タリンの旧市街の中世の面影を残す町並み (世界遺産・タリン市歴史地区) というのが,日本人の口から返ってくる定番の答えだが,これは,日本にたとえれば,京都・奈良の神社仏閣や,城下町に残る武家屋敷に相当するものである。歴史的にきわめて価値の高いものに違いないが,日本の建築のすべてではない。20世紀の建築物の中にも,保存されるべき歴史的価値を持つものがある。

 エストニアでは,帝政時代 tsaariaeg (~1917),共和国時代 Eesti Vabariigi aeg (1918~1940), ソビエト時代 Nõukogude aeg (1940~1991) の3期に分けて,国内の歴史的価値があると考えられる建築物の目録を作成し,それをもとに2012年までに,歴史的建造物として保存すべき建物を選定し,2013年から保存のための措置をとることを目指して,準備が進んでいる。目録には2000以上の建築物が載っているが,そのうちの5~10%が保存の対象に選定されるだろうという。

 記事: Osa Nõukogude arhitektuurist läheb ilmselt kaitse alla

 選定には,4つの基準が用いられる。

・歴史的な価値 (ajalooline väärtus)
・美的な価値 (esteetiline väärtus)
・実用的な価値 (kasutusväärtus): 建築された当時の使用目的,あるいは,新たな使用目的で利用可能か
・ソビエト時代については,その時代の社会と生活を反映しているジャンルの建築物:外貨商店 valuutakauplus, 政党本部 poliitharidusmaja, 集団農場 kolhoosikeskus, インツーリスト・ホテル Inturisti hotell など

 保存の対象になるだろうと見込まれるエストニア各地の主な建物は次の通り。

・Rahvusraamatukogu hoone Tallinnas (arhitekt Raine Karp)
・Valgeranna puhkebaas Pärnumaal (arhitekt Meeli Truu)
・Saaremaa Mändjala kämping (arhitekt Liina Jaanus)
・Restorani Tarvas seinapannoo Tartus (kunstnik Elmar Kits)
・Tõravere observatooriumi linnak ja peahoone Tartumaal
・Kääriku spordibaas Valgamaal (arhitektid Peeter Tarvas ja Uno Tölpus)
・Tehvandi suusaspordibaas Valgamaal (arhitektid Peep Jänes ja Tõnu Mellik)

 保養施設 puhkebaas,キャンプ場 kämping,スポーツ合宿施設 spordibaas が多いののは,基準の3つめの実用的な価値に基づくものだろう。ソビエト時代には,こういった宿泊施設はすべて国営で,希望して空きがあれば誰でも利用出来るものではなく,一般の労働者の場合,施設利用許可のついた特別休暇がとれるのは,多くても何年かに一度くらいだったようである。ソビエト時代の末期になると,施設利用の制限は比較的緩やかになったようで,1980年代の終りに,私も学生のスキー合宿に南エストニアに連れて行ってもらったことがある。今は,食堂や個室も当時よりはるかに立派になっているだろうが,そのぶん宿泊費・使用料などが高くなっていることだろう。

建築       arhitektuur
保護       kaitse
建築遺産    arhitektuuripärand
遺産       pärand
建築家      arhitekt
芸術家      kunstnik
集団農場住宅  kolhoosiasula
高層住宅     korruselamu
住居,住宅    elamu, elumaja
危機に瀕した   ohustatud
歴史保存     muinsuskaitse
発展する     arenema
鉄筋コンクリート raudbetoon
残骸,遺構    varemed
建物        hoone
建築物      ehitis
取り壊す     lammutama
文化遺産     kultuurimälestis
団地の住居棟  paneelelamu
デザイン画    kujund
住環境      elukeskkond
芸術        kunst
文化財      kultuuriväärtus


 スポーツセンターを兼ねた村の公民館施設 (ソビエト時代) 形と大きさが違うだけで,発想は,東京都文京区の後楽園の隣にそびえ立つ文京シビック・センターと基本的に同じと思われる。
 Kareda vallamaja-klubi-spordihoonet hakati ehitama Nõukogude aja lõpus. Risttahukakujuline ehitis Peetri alevikus Järvamaal väljendab hästi ajastu arhitektuuritaotlusi.

 団地の住居棟の外壁の芸術 (ソビエト時代) ロシアの地方都市に行くともっと派手なデザインの外壁が見られる。
 Tallinnas Mustamäel Akadeemia teel asuvad miljööväärtuslikud majad, mille omapära peitub kujundites otsaseintel.

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