ホームステイ - keeleõpe
エストニアではユネスコの事業の一環として,今年の夏,エストニア人の家庭に10日間滞在する機会が,72人のロシア人の中高生に与えられる。参加者がどのように選ばれるのか記事からはわからないが,このユニセフのこのプロジェクトに関する限り,参加費は無料らしい。
日本の高校生の間で流行のホームステイとは,早い話が,外国語の習得を目的として外国に滞在する場合に,ホテルではなく,民間の家に居候ないし下宿をすることと事実上同じである。英語の Wikipedia で homestay の定義を調べてみると,必ずしも言語学習が目的でない場合,たとえば観光目的のような場合も含めているようである。
ロシア語系住民がほとんどを占める東北エストニア (Virumaa) のナルヴァ Narva やコフトラ・ヤルベ Kohtla-Järve には,子どもたちをこのプログラムに参加させて,エストニア語を積極的に学ばせようと考える親たちも結構いるらしい。同じ国の中に言語や文化の異なる地域の間で行われるという点を除けば,ホームステイと呼ばれているものと基本的に同じである。
記事: Vene lapsed tahavad parandada oma eesti keele oskust
参考: ロシア語系学校 - vene kool (2010/06/20)
参考: 初等読本 - aabits (2010/06/10)
参考: エストニア語・ロシア語辞典 - sõnaraamat (2010/03/04)
参考: エストニアのロシア人とエストニア語 (2009/08/28)
ソビエト体制崩壊から,20年近く経ち,エストニア語を流暢に話すロシア人の若者たちにタリンで出会うこともめずらしくなった。買い物をしたり,乗り物に乗ったりするたびにロシア語を話さなければならなかった時代が遠い昔になった感ががある。エストニア語を積極的に学びたいと考えるロシア人の若者が増えてきていることは,エストニア社会の安定という観点から喜ぶべきことである。ロシア語系の若者たちの自己アイデンティティーの形成過程において,エストニアの市民であることが,重要な要素となっていることを示すと考えられるからだ。
参考までに,エストニアで出ている辞書をいくつか引いてみたが,エストニア語には英語の homestay に相当する決まった言い方はないようで,実は,見出しに掲げた keeleõpe は「外国語学習」にあたる複合語である。オックスフォード大辞典を見ると,homestay の用例のもっとも古いものとして1953年のものがあがっている。おそらくは,第二次大戦後にアメリカ英語で使われるようになった概念で,アメリカ文化の先例をもろに受けた日本で当たり前のように思われているが,日本人が考えているほどは世界で一般化していない概念と思っておいたほうがいいかもしれない。
向上させる parandama
エストニア語の能力 eesti keele oskus
ロシア語の venekeelne
エストニア語の eestikeelne
十代の teismeline
家族,家庭 pere
意思を通じ合う suhtlema
参加費 osalustasu
参加する osalema
実習 praktika
学校の休暇 koolivaheaeg
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