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方言 - murre

 いわゆる方言,最近の言い方をすれば「地域語」が注目を浴びているのは,世界的な風潮である。エストニアでも,ソビエト体制の崩壊以後,地域語を見直そうとする動きが急速に盛り上がった。現在のエストニア語の標準語は北エストニアの方言が主体になっているため,地域語の独自性を誇示する声は,南エストニアのほうで目立つ。もっとも早くから知られているのは,ヴォル Võru, ポルヴァ Põlva を中心とするヴォル地方 Võrumaa の地域語で,ヴォル語 võru keel と呼ばれる。地域的に,エストニア語研究の中心のタルト大学に近いこともあって,ヴォル語は,標準語からもっとも離れた方言のひとつとして詳しく研究されてきたため,早い時期から表記法の論争が起こるとともに,文学作品が出されれ,文法書や辞書も出ている。

 南エストニア,ちょうどタルトとパルヌの中間あたりにヴィリヤンティ Viljandi があるが,そのヴィリヤンティの南,ヴォルツ湖 Võrtsjärv の西側の地域はムルキ地方 Mulgimaa と呼ばれる。現在の行政区画では,ヴィリヤンティ県 Viljandimaa とヴァルカ県 Valgamaa にまたがる地域である。

 ムルキ地方の方言はムルキ語 mulgi keel と呼ばれ,およそ1000人の話者がいるとされている。1000人は,人口比で考えると,日本なら10万人に相当する。2004年には,ムルキ語のテクストを収録した読本 Mulgi keelen ja mielen が出たほか,ラジオで月1回の放送があり,不定期の新聞 Mulke Sõna が発行されている。

 5日(土曜日),ヴィリヤンティ県カルクシ村 Karksi vald の城跡に,ムルキ地方の11の村の代表が集まって,初めてのムルキ語の歌と踊りの祭りを開催した。開会式の挨拶に立ったカルクシ村の村長は,この祭りをムルキの言語と文化を守る出発点にしようと述べた。記事には,エストニアTVのサイトの映像へのリンクがある。映像では,年配の女性たちがムルキ語でインタビューに答えているので,ムルキ語を聞くことができる。

 ムルキ語を話さない人を含めた「ムルキ人」 mulk は 25000人はいるらしい。ある年配の女性がインタビューで「今までは気付かなかったが,自分たちがムルキ人だということが今日わかった」と答えているのが面白い。

 記事: Karksis peeti esimest mulgi laulu- ja tantsupidu
 参考: Võtaks Mulgimaa asjad õige enda kätte! (Toomas Hendrik Ilves)
 参考: エストニアの民族衣装 - rahvariided
 参考: 歌と踊り - laul ja tants
 参考: エストニアのセトの伝統歌謡がユネスコの無形文化財に登録

ムルキ人    mulk
言語      keel
方言      murre
ムルキ語    mulgi keel
地域語     regionaalkeel
読本      lugemik
城跡      lossimägi
歌と踊りの祭り laulu- ja tantsupidu
村       vald [行政単位]
村長      vallavanem
歌う人,歌手  laulja
踊る人,舞踊家 tantsija

Mulgi mehed on peoks valmis.

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