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大統領の息子 - presidendi poeg

 エストニアのイルベス大統領 Toomas Hendrik Ilves の息子ルーカス・イルベスさん Luukas Kristjan Ilves (22歳) が,エストニアTVのトーク番組 Kahekõne 「対話」に出演し,25分近くも視聴者の前に顔を見せた (映像参照)。番組は,ルーカスさんの兵役が明けた27日に放送された。

 記事: Presidendi poeg plaanib pärast sõjaväge Eestis tööle asuda (Postimees)
 記事: Presidendi poeg plaanib pärast sõjaväge Eestis tööle asuda (ERR)

 このところ大統領の家族がエストニアのマスコミに登場する機会が増えている。大統領の長女が強請られていたというニュース (5/22) は記憶に新しい。長女の写真がマスコミで流れた。今度は,長男のテレビ出演である。これまて一般にはほとんど知られていなかった,イルベス大統領の先妻との間の2人の子どもについて,名前はもちろん,年齢や学歴まで,すべての国民の知るところになったわけだが,すべてが偶然とは思えない。とくに,大統領の息子とはいえ,学部しか出ていない若干22歳の若者のテレビのトーク番組への出演は異例であり,「神の手」が働いている可能性は大いにあると思いたくなる。

 イルベス大統領はもともとアメリカ国籍であり,エストニアの独立回復後,出自によって自動的にエストニア国籍を得たあと,アメリカ国籍を放棄した経歴をもつ。長男と長女の母親である先妻はアメリカ人である。エストニアの国民からみたとき,この経歴は,エストニア国家への忠誠という観点から,大統領とその長男・長女を評価する際には,プラスの要因としては働きにくい。つまり,いざとなったとき,本当にエストニア人として,エストニア人の利益のために決断し,ものごとを実行できるのかという点に関して,一抹の不安が国民の間にあったとしても不思議はない気がする。

 長男のルーカスさんが,スタンフォード大学の学部を昨年卒業したあと,エストニアで兵役 (空軍らしい) を終え,この秋からは大学に戻らず,エストニアで安全保障政策に関わる分野で就職したい,と番組で答えたのも,国民の間にあると思われるそういった「不安」を払拭するためではないだろうかと考えるのは,勘ぐりすぎか。それはともかく,20分を超える長時間にわたる面接のような対話で,難しい話題でも理路整然とした話がエストニア語でできる姿を国民に印象づけ,イルベス大統領の息子は秀才であることを十分にアピールできたのでは間違いない。

 エストニア語と英語のほかに,ドイツ語とフランス語ができるそうで,クラウゼヴィッツ Carl von Clausewitz の古典的名著『戦争論』はドイツ語(Vom Kriege) と英語訳 (On War) で読んだが,エストニア語訳 (Sõjast, 2004) でも読んでみたいとのこと。来年,国会議員選挙に出馬してはどうか,という質問には,まだ社会経験が未熟なことがわかっているので,そのつもりはないと答えている。

軍隊     sõjavägi
兵役     sõjaväeteenistus
防衛軍    kaitsevägi [エストニア国軍の名称]
就職する   tööle asuma
安全保障政策 julgeolekupoliitika
高等教育   kõrgharidus
学士     bakalaureuse kraad, baka
修士     magistrikraad
博士     doktorikraad
対話     kahekõne
国の機関   riigiamet

 関連ページ: 強請る - välja pressima

【改訂履歴】 リンクを修正 (2010/12/14)

Luukas Kristjan Ilves ja president Toomas Hendrik Ilves

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