夏至祭のたき火 - jaanituli, jaanik
夏至祭の前夜に野外で大がかりに焚く火のことで,その周りに集まって楽しむことも含めて言う。ただし,エストニア特有のものではなく,夏至の前夜に火を焚くのは,北ヨーロッパを中心に広く見られる風習のようである。ちなみに,フィンランド語では,これを juhannuskokko と呼ぶ。
イメージ的には,日本語でキャンプファイヤと呼ぶものに近いが,特定の日に行う伝統的な行事という意味では,季節は正反対だが,正月のしめ縄などを焼き捨てる「どんど焼き」のほうが近いかもしれない。木を2~3メートルの高さに組み上げることもめずらしくない。
この「夏至祭の大たき火」だが,日本語ではぴったりする言葉がない。英語に訳すときは Midsummer Eve bonfire のように bonfire をつかうので,この bonfire をある英和辞典で引いてみると「たき火」「(宗教的祭事・祝典・合図などのために野天でたく)大かがり火」というような訳し分けがしてある。つまり,日本語の「たき火」は,数人で輪になって囲めるような小規模な火で,夏至祭の「大たき火」のイメージにはぴったしない気がする。かといって「大かがり火」と呼ぶことにすると,夜間の照明のための火のイメージがどうしても前面に出るので,やはり夏至祭のイメージにぴったりしない。そもそも,キャンプファイヤやどんど焼きを「大かがり火」とは呼びにくい。
日本語でなんと呼ぶかはともかく,jaanituli はエストニアの夏の風物詩のひとつである。ただし,6月は日本では,まだ夏休みの時期ではないので,実際にエストニアに出かけて jaanituli を体験する機会は,なかなかないのが実情である。
夏至祭 jaanipäev
夏至前夜の大たき火 jaanituli, jaanik
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