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大学 - ülikool

 エストニアでもっとも歴史のある大学で,エストニアの地がスウェーデン領だった1632年に,スウェーデン王国の大学 Academia Dorpatensis Gustaviana に遡るとされるタルト大学 Tartu Ülikool が,この秋からタルト国立大学 Tartu Rahvusülikool という名前に変わる。この rahvus は,エストニア国立図書館 Eesti Rahvusraamatukogu などと同じ意味で付けられるものだが,もともとは民族とか国民という意味で,英語の nation とその形容詞 national に相当する。この「国立」は,民族,国民国家のためのというような意味である。

 タルト大学は,ソビエト時代にも「タルト国立大学」 Tartu Riiklik Ülikool と呼ばれていた。この「国立」 riiklikはロシア語の государственный の訳で,国家,政府という意味の riik の形容詞形。英語の state に相当する語で,私立,民営と対比される「国営」に通じる意味をもつ。

 ソビエト体制の崩壊後,エストニアの高等教育機関に対して,次のような名称の変更と法律的なステータスの変更が行われた。まず,唯一の大学「タルト国立大学」から「国立」 riiklik が取られ,「タルト大学」Tartu Ülikoolが誕生する。この一方で,ソビエト時代には「大学」とは見なされていなかった「タリン教員養成専門大学」 Tallinna Pedagoogiline Instituut と「タリン工芸専門大学」Tallinna Polütehniline Instituut が「大学」に格上げされて,それぞれ「タリン教育大学」 Tallinna Pedagoogiline Ülikool, 「タリン工芸大学 」Tallinna Polütehniline Ülikool となる。その後,タリン教育大学は「タリン大学Tallinna Ülikool,タリン工科大学は Tallinna Tehnikaülikool と名前を変え,現在のエストニアには ülikool「大学」という名前の高等教育機関がいくつもある。

 ここにきて「タルト大学」だけ特別な rahvaülikool「国立大学」という名称を与えるというのは,エストニアの高等教育機関の間にあった,ある意味での平等主義を見直し,大学間に現実に存在する格差を国が改めて認めたことになると考えられる。

 記事: Tartu Ülikool nimetaks end seaduses rahvusülikooliks

Tartu Ülikool

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