犯罪 - kuritegu
大相撲の把瑠都の活躍で,日本では一躍知名度が高まっているエストニアだが,あまり嬉しくない側面もある。
ひとつは,覚醒剤などの密輸をするエストニア人がいることだ。これは,エストニア人だけの問題ではないし,エストニア人にとくに多いと言うわけではないのだが,私が成田空港警察での取り調べや,千葉地方検察庁での聴取に,通訳として関わることがあるために,余計そう感じるのかも知れない。オランダのアムステルダムが,この種の犯罪組織のハブのようになっているようであるが,たいていは,成田についたら東京に行き,指定されたホテルにチェックインすると,翌朝,誰かが迎えに来る手はずらしい。ちなみに,覚醒剤はエストニア語で erguti ないしは stimulant といい,麻薬類は uimasti ないし narkootikum と呼ぶ。ただし,narkootikum は,覚醒剤と麻薬・向精神薬の総称としても用いられることばである。私は,通訳をするまで,覚醒剤と麻薬の区別がわからなかったのだが,覚醒剤は文字通り意識をはっきりさせたり,興奮させる効果のある薬物で,麻薬のほうは,逆に意識をもうろうとさせる薬物で,医療の現場で麻酔や,鎮痛剤,催眠剤などとして使われる薬と基本的に同じ薬物である点で,2つはまったく違う。日本の法律では,それぞれ,覚醒剤取締法と麻薬及び向精神薬取締法によって,規制されている。
警察 politsei
警察官 politseinik
検察 prokuratuur
検察官 prokurör
裁判所 kohus
裁判官 kohtunik
弁護士,弁護人 advokaat
もうひとつは,10代の少女の売春である。ただし,これについては直接には知らないので,どこまでが本当かは不明だが,煙のないところには噂がたたないわけで,まるっきり作り話ではないであろう。エストニアの10代の少女たちの売春が,スウェーデンで組織的に行われているとしているのが,日本でもミステリーのベストセラーになったスウェーデン作家スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作で,第1部「ドラゴン・タトゥーの女」ではほんの少し述べられているだけだが,第2部「火と戯れる女」では,中心的なテーマのひとつになっている。少女たちではないが,エストニアの若い女性たちが,日本に出稼ぎに来ていた時期があるのは本当である。医者などを相手にする高級なクラブなどでホステスをしていたエストニア人がいたようで,自分は独身の歯医者だが,クラブのエストニア人ホステスを口説きたいので,エストニア語を教えてくれというようなメールを本当にもらったことがある。
どちらも,ソ連邦崩壊後,国外に自由に行けるようになったエストニア人の国際化を象徴的に示す現象だが,あまり関心できる事態ではない。
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