エストニア人と酒 - viin
ヨーロッパ諸国の中で,エストニアは,アルコールが直接の原因の死亡者の割合 (男性の10万人あたり11.0人) で第1位,1人あたりの年間アルコール消費量 (11.9 リットル) では第2位だという。死亡率では,第2位のクロアチア (10万人あたり5.1人),第3位のドイツ (10万人あたり4.7人) を大きく引き離していて,あまり名誉な数字とはいえない。しかも,男だけに限ると,死亡率の数字は 10万人あたり20人に跳ね上がるという。
記事: Eesti juhib mäekõrguselt Euroopa viinasurmade edetabelit (Tarbija24 2010/03/14)
なお,この数字には,長期にわたる飲酒が原因の肝硬変による死亡者や,凍死,転倒,火災,交通事故等,飲酒による酩酊状態で起こる事故による死亡者は含まれていないらしい。
日本語の「酒」はアルコール飲料一般をさすことばとして使われるが,宴会の席でビールと区別して「お酒」といえば,ふつう日本酒のことである。エストニアではウォッカが伝統的な酒で, 蒸留酒を意味する viin はふつうはウォッカのことである。
以前,初めて日本に来たモスクワ在住の女性に日本酒をすすめたら「私はウォッカを飲まない」と固辞されたことがある。確かに見た目はウォッカに似ているが,日本酒は蒸留酒ではないので,エストニア語ではriisivein 米のワイン ということになるだろう。これに対し,日本の焼酎は蒸留酒だから 米焼酎はエストニア語では riisiviin になると思われる。主格が viin と vein でよく似ていて紛らわしいようだが,格変化させると viina に対して veini と語幹の母音が違うので,実際には区別しやすい。日本の焼酎はほとんど知られていないので tatraviin そば焼酎 があると言うと驚くエストニア人が多い。参考までに,くだんのロシア人女性は,帰国後に認識を変えたようで,二度目に日本に来たときには黙って日本酒を飲んでいた。
写真右手前の棚には lauaviin と書かれたビンが並んでいる。lauavein 「テーブルワイン」, lauavesi 「(食卓用の)水」あたることばはいろんな国にあるだろうが,商品名とはいえ「テーブル・ウォッカ」ということばはエストニアだけかもしれない。エストニアのアルコール消費の問題を象徴することばである。
語彙
viin (属格 viina) ウォッカ,酒
vein (属格 veini) ワイン
viinasurma アルコールが原因の死亡
tarvitama 消費する
viinapood 酒屋
【更新履歴】 2011/02/15
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