エストニア語・ロシア語辞典 - sõnaraamat
エストニア語大辞典の新版 Eesti keele seletav sõnaraamt が去年 (2009),6巻本で出たのに続いて,このほど5巻本のエストニア語・ロシア語辞典 Eesti-vene sõnaraamat / Эстонско-русский словарь が完結した。第1巻の初版が出たのは1997年である。今買うと,第1巻は2000年に出た新版の装丁になる。
この辞典の第1巻には,エストニア語とロシア語で,それぞれ約30ページにわたるエストニア語の形態論の体系的な解説がある。とくに,エストニアに住むロシア人が重宝するだろう。
エストニア語の形態論を網羅的に研究したのは,エストニア語研究所の研究員 Ülle Viks さんで,1992年に二部構成の『エストニア語形態小辞典』を出版した。
1. Ülle Viks: Väike vormisõnastik. I. Sissejuhatus & grammatika. / A Concise Morphological Dictionary of Estoninan. I. Introduction & Grammar. / Краткий морфологический словарь эстонского языка. I. Введение & грамматика. Tallinn 1992.
2. Ülle Viks: Väike vormissõnastik. II Sõnastik & lisad. Tallinn 1992.
第1部の解説編は70ページほどの小冊子で,エストニア語版,英語版,ロシア語版がある。辞典の本体の第2部は約850ページもあり,とても小辞典とは言えない網羅的なものである。第2部はタイトルだけが3つの言語で書かれているが,本文は形態論のデータだけなので1冊しかない。
ユレ・ヴィクスさん Ülle Viks は 1948 生まれ。エストニアにはすぐれた女性研究者が多いが,この世代でコンピュータを使う研究をしてきた女性は珍しい。タルト大学で開発されたエストニア語の形態解析プログラムやスペルチェッカーは,この研究が基礎になっているほか,エストニア語標準語の辞典類には,編者のひとりとして必ず彼女の名前が載っている。
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