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オペラ歌手 - ooperilaulja Georg Ots

 今日,3月21日 は,エストニアの伝説的なオペラ歌手,バリトンの Georg Ots ケオルク・オッツ (1920 - 1975) の生誕90周年の記念日で,エストニア劇場で記念コンサートが開催される

 記事: Estonia ja rahvusringhääling tähistavad Georg Otsa juubelit (Postimees 2010/03/20)

 出演者は,フィンランド,ラトビア,ロシアからも招待されている。記念DVD «Georg Ots – Estonia legend» 「ケオルク・オッツ - エストニア劇場の伝説」も合わせて発売になるらしい。劇場内の記念展示では,1996年にロシア科学アカデミーがある星を 3738 OTS と命名したという証明書まで展示されているという。

 オッツの父親はテノール歌手だったというから,歌の才能は親譲りだろう。ただ,意外にも,最初は,技師になる道を選び,20歳を過ぎてから,ロシアのヤロスラブリで結成されたエストニア人の慰問部隊に属して,初めて人前で歌うようになったらしい。1944年,タリンの音楽学校 Tallinna Konservatoorium に入学し,エストニア劇場 Estonia [esTOOnia] の舞台に出るようになったとき,オペラ歌手ケオルク・オッツが誕生する。モスクワのボリショイ劇場にも何度か出演し,北米やヨーロッパに公演旅行に出かける,エストニア随一の国際的オペラ歌手だった。

 私の場合,エストニアに最初に行ったのは1978年だから,ケオルク・オッツの舞台は観たことがないし,当時は今のように映像が簡単に見られる時代ではなかったから,オペラ歌手としてのケオルク・オッツのことをほとんど何も知らない。私がケオルク・オッツの名を聞いて,すぐに思い浮かべるのは「サーレマー・ワルツ」 Saaremaa valss である。この歌は,フィンランド語でそのまま Saaremaan valssi と呼ばれるが,フィンランドでも,ある年代層以上なら,この歌の名前を耳にしただけですぐにメロディーが思い浮かぶような,有名な歌のひとつになっている。ラジオから聞こえてくる美しいバリトンの声に,フィンランドの女性たちが釘付けになったと言われ,今でも,フィンランドのレコード屋さんでは懐メロCDを売っている。私は見ていないが,2007年には,ケオルク・オツの生涯を描いた映画 Georg が制作されたようだ。

 サーレマー・ワルツは,詩人 Debora Vaarandi (1916 - 2007) の詩の一節に,作曲家の Raimond Valgre (1913 - 1949) が曲を付けたものである。[ 歌詞はここ ] 歌手,詩人,作曲家のいずれも,サーレマーの出身 saarlane ではないが,サーレマーの名を世界にとどろかせた功労者となっている。とくに歌手の名は,クレサーレ Kuresaare のホテルの名前 Georg Ots Spa Hotel にもなっているから,日本人でも知っている人があるにちがいない。ただし,インターネットでは「ゲオルグ・オーツ」「ゲオルグ・オトス」などとなっていて,検索すると「オート麦」と一緒にヒットすることがある。「オーツ」はロシア語訛りの読み方だが,「オトス」はどこから来たのだろう?

 サーレマーの名がついたエストニアで有名な歌には,このほか「船から望遠鏡で見るとサーレマーは遠いなあ」という意味の文句で始まる「サーレマーの歌」がある。おそらく戦前からある歌だが,楽しくていい。[ 歌詞はここ ]

 Georg Ots はまた,客船 reisilaev の名前としても知られている。ポーランドで建造されて,モスクワ・オリンピックの開かれた1980年から,それまでのタリン号 Tallinn に代わって,タリンとヘルシンキの間を1日1往復運行した。ソビエト時代を通じてエストニアとフィンランドを結ぶ事実上唯一の絆であったフェリー航路である。スウェーデンはもとより,北米のエストニア人たちも,みなヘルシンキに集まり,Georg Ots 号に乗って,タリンに向かった。エストニア語の Wikipeedia によると,この船は1994年にフェリー会社の Tallink に売却され,2000年までヘルシンキ・タリン間を運行した。その後,2002年にはロシアの船会社に売却されて,現在は,ペテルブルクとカリーニングラードを結ぶ航路で使われているという。【*注】現在,ヘルシンキとタリンの間は,早いフェリーなら片道1時間ほどで結ばれ,日帰り旅行ができるが,ソビエト時代には,片道3時間半かかり,タリンでの通関・パスポート検査に30分はかかったから,日帰りの旅行は考えられなかった。

語彙
 legend      伝説
 dirigent     指揮者
 laul        歌
 ooper       オペラ
 laulja       歌手
 helilooja     作曲家
 luuletaja     詩人
 teater      劇場,演劇
 kontsert     コンサート,公演
 kontserdisaal  コンサートホール

【*注】
 Georg Ots 号は,今年 (2010) の10月から,ウラジオストクと樺太やカムチャツカの間を運行している。

 関連ページ: 客船 - reisilaev Georg Ots (2010/10/13)

【補足】 注の追加と切手の画像へのリンクの追加。(2010/11/16)

Georg Ots の還暦記念切手 (1980/03/21発行)。
「ソ連邦人民芸術家」と書かれているように,エス
トニア国外でも知名度が高かった。
60th Birth Anniversary of Georg Ots. Date of issue: 21st March 1980

Georg Ots

Georg Ots

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