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法案 - eelnõu

 エストニアの言語法 keeleseadus の改正案が批判を浴びて一度撤回されたことを昨年秋に話題にしたが,指摘された問題点を盛り込んだ新しい改正案の検討が,今,最終段階に入っている。

 参考: エストニアの言語法改正案をめぐる論議

 前回もっとも批判の多かったマスコミにおけるエストニア語標準語の規範遵守の義務づけはなくなり,官庁や公共施設にだけ義務づけられるようになったのが大きな違いの一つである。新聞記者たちは,「適切な慣用」 hea tava に従って書けばよいことになる。もうひとつは,言語政策や言語計画についての助言をする機関としての Eesti keelenõukogu 「エストニア言語委員会」の設置が法律で規定されることだ。同時に,言語政策・言語計画が国会 Riigikogu で論議されるべきものとして位置づけられる。

 Seadus sätestab ajakirjanduskeeleks hea tava

 言語政策・言語計画の位置づけについては,今後議論を呼ぶことが予想される。とくに「適切な慣用」と訳した概念についてはほ「法律で定めることではない」という内容のコメントが何人もの読者から寄せられている。また,痛烈な皮肉として,

 Miks ei leidu ÕS-is sellist sõna nagu 'sõnavabadus'??
 エストニア語正用法辞典に「表現の自由」ということばはないのはなぜか?

というコメントがある。もちろん,この sõnavabadus という単語はちゃんと辞書には載っていて,人権としての表現の自由,つまり言論の自由を意味する。それをもじって,創造的な言語表現の自由が制限されることに対する危惧を表明しているわけだ。

 それ以上に,批判の対象になっているのが,改正案では,喫茶店やレストランなどを含めた公共の施設に外国語名を使う場合に,それがどのような業種なのかをエストニア語で明示することや,商品説明や広告をエストニア語で行うことを義務づけている点である。

 Seadus sätestab ajakirjanduskeeleks hea tava

 これについては,商品名や施設名や会社名そのものがエストニア語でなければならないというふうに理解した読者がいろいろなコメントを寄せていて,読んでいて楽しい。ちなみに,商標や会社名などのエストニア語訳として読者はこんな「提案」をしている。

 Volkswagen - Rahvakäru   「民衆の手押し車」
 Skype - TaevaPE       「空PE」
 A Le Coq Special - Eriline Hale Kukk  「特別なお粗末な雄鳥」 (エストニアのビール)
 Peetri Pizza - Peetri Lahtine Pirukas  「ペーテルの平べったいピロシキ」
 Neste- vedelik      「液体」 (フィンランドの石油会社)
 Citizen- kodanik     「市民」
 Bluetooth- sinihammas   「青い歯」
 Windows Vista - Akna vaateala  「窓からの眺め」

 もちろん,こんな翻訳までは義務づけてはいないのだが,われわれとしては,今後も議論の動きを見守るとしましょう。

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