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エストニア人とそば - tatar

 蕎麦と聞くと,ふつうは,ざる蕎麦やかけ蕎麦などの,いわゆる蕎麦切りのことを思い浮かべる。しかし,蕎麦を麺類として食べるようになったのは,戦国時代から江戸時代の初め頃のことで,それ以前は,蕎麦掻き【*注】といって,つくねのようにするのが普通の食べ方だったらしい。

 蕎麦の実は,日本では「そば米」という商品名で売られている。そば米にはいろいろな食べ方があるが,その1つはお粥にする食べ方である。

 このそば粥に近いエストニアの料理が,tatrapuder である。これは,ふつうロシア語で言うカーシャ каша の一種ということにされているが,ロシア料理をよく知らないので真偽の程はわからない。なお,エストニアで食べる蕎麦は,日本で食べる普通種とは種類が違い,ユーラシア大陸に広く見られるダッタン(韃靼)種である。また,不勉強なので,蕎麦がエストニア国内で栽培されているのかどうかもしらない。

 エストニアのそば粥は,塩やブイヨンなどを加えたお湯に蕎麦の実を入れてゆで,水を切って食べるのが一般的な食べかたで,日本のお粥のイメージとはかなり違う。ちなみに,インターネットにのっている日本風のカーシャ(そばの実粥)ともやや違うようである。

エストニアのそば粥 tatrapuder

 エストニア語で(ダッタン種の)蕎麦をさす tatar は,タタール(韃靼)を意味する tatari と語源が同じである。ただし,蕎麦は tatar - tatra - tatrat (そば - そばの - そばを)のように格変化する。ロシア語では,蕎麦のことを гречка (гречиха)と呼ぶから,ギリシアと関連づけているのであろう。ハンガリー語の「ギリシアの瓜」Görögdinnye (=スイカ),日本語のカボチャなど,似たような命名法は世界各地にあるようだ。

 韃靼種のそばは,日本では「韃靼そば」のほかに「にがそば」という商品名でも売られている。確かに,韃靼そばは日本の蕎麦と比べると,やや苦みが強い。なお「そば米」として売られているのは,普通種のそばだけで,韃靼種のそば米は商品化されていないのではないかと思うが,確かめていない。

 蕎麦の歴史が書いてある本は,長野県の郷土出版物として何冊か出ている。ただし,エストニアのことまでは書かれていない。

中田敬三『物語 信州そば事典』松本市:郷土出版社,1998.
市川健夫『信州蕎麦学のすすめ』長野市:オフィスエム,2000.

【*注】 それほど熱心に蕎麦屋めぐりをしているわけではないので,単に私が知らないだけかもしれないが,蕎麦掻きはなかなか食べる機会がない気がする。長野県の飯田市に行ったときに,市内の蕎麦屋で食べたことがある。場所は覚えているのだが,店の名前は忘れてしまった。 (2011/01/17)

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