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スパイ - luure

 いわゆるスパイ活動を指す。動詞 luurama 「諜報活動をする」から作られた名詞。人を指すときは luuraja 「諜報活動をする人」を使う。エストニア語の学習者が使う言葉ではないと思うが,1920年代の初め頃にソ連邦から送り込まれたり,ソ連邦の指示で諜報活動をしたエストニア人たちについての記事があったので話題にした。[記事ページ]。

 ところでこの luure だが,間違えてRの代わりにLを発音して luule というと「詩」の意味の単語になるという点では,日本人にとっては危険な(?)単語かも知れない。エストニア語の学習者でも,詩の話はするかもしれないからだ。参考までに,歌のメロディーに対することばを意味する「詞」は sõnad (sõna 「語」の複数) という。

 ほかに日本人が間違って恥ずかしい思いをするかも知れないものとしては, palun 「お願いします」と parun 「男爵」, roll 「役割」 と loll 「間抜け,あほ」などが思いつく。エストニア語は,母音をはっきりとした音色で発音するので,強勢のない母音がすべて曖昧母音になってしまう(アメリカ)英語ほどはたくさんない。英語の please や,「ありがとう」に対する「どういたしまして」などの意味で会話でよく使う palun については,音声学の専門家としても知られる日本のさる言語学者がこの間違いをしたらしい。エストニアの言語学者が昔面白そうに話してくれた。

 私が始めてエストニアに行ったのは 1978 年だが,その前に,エストニア科学アカデミーに宛に「エストニア語を勉強したい」という手紙を書いていた。もちろん最初は英語である。そのとき,私の担当になった人が,後年,私の手紙が届いた当時,日本人がエストニア語を学びたいなどとふつうは考えるはずがないから,何か隠された目的があるのだろうと,アカデミー側では考えたというようなことを語ってくれた。この人は,1990年代になって,ロシア語とエストニア語の対照研究で学位を取った言語学者でもある。もちろん,ソビエト時代の科学アカデミーで外国人と英語で文通することが許された人だから,それを専門とするKGBの息のかかったスタッフだったわけだが,私が luuraja と見られていた時期があったかも知れないにしても,すぐに役に立たないことがわかったのだと思う。

 ソビエト体制崩壊後,エストニアのKGB文書がエストニアの国立公文書館に移されて,目録が作られている。オンラインで私の名前をキ-ワードに検索するとヒットする文書がある。どういう文書がアーカイブ化されているのか興味があるが,まだ見に行っていない。本人は無条件で見ることができるそうである。

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