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キフヌ島の歌と踊り - laul ja tants

 エストニアのキフヌ島 Kihnu からやってきた12人(うち女性が11人)によるキフヌ島の婚礼の儀式と歌と踊りの公演が今週ありました。文化庁主催の国際民俗芸能フェスティバルへの出演ですが,私は10日の昼の公演を見ました。

 エストニアの伝統的な衣装は,歌謡祭 laulupidu ( 「歌の祭」;最近は「歌と踊りの祭」 laulu- ja tantsupidu と呼ばれているようです) を見に行かないと見られなくなりましたが,キフヌ島では,ふだんも伝統的な衣服で畑仕事をしていると言われています。来日したキフヌの女性たちがそう言っていたので,おそらくそうなのだろうと思います(私は行ったことがないので)。そんな理由で,キフヌ島は民俗博物館のような島と呼ばれることがあります。エストニア語で歌を意味する laul は,フィンランド語の laulu と同じく固有語です。踊りを意味する tants はドイツ語 (Tanz) から,対応するフィンランド語 tanssi はスウェーデン語 (dans) から入った外来語とされています。

 なぜ一行の中に男が1人だけ,しかも17歳の高校生がいるのか不思議に思っていたのですが,当日プログラムを見て疑問が氷解しました。結婚式なので,花婿役が必要だったわけです (宝塚方式は考えなかったのかな)。ただ,エストニアで出している資料を見ると,伝統的には,楽器の演奏は男の役割で,女性たちが演奏もするようになったのは最近のことのようです。

 村の祭りなどで lõõtspill (harmoonika, アコーディオン)が主たる楽器になっているのは,フィンランドでも同じですが,キフヌでは1950年代から使われるようになった楽器だそうです。婚礼の儀式は島独特のものだろうと思いますが,歌のメロディーや,踊り方は,たとえば,バルト海の対岸のフィンランドの海岸地方に住むスウェーデン語系フィンランド人の歌のメロディーや踊りと似通っているような気がします。エストニア語の島や海岸地方は,スウェーデン語起源の地名 (例 Norrby) や,Rootsi 「スウェーデン」のついた地名が多く見られることからもわかるように,古くからスウェーデンとの交流が盛んだった地域なので,対岸のフィンランドやスウェーデンの島や海岸地域と共通の文化的要素を受け継いでいることが大いに考えられます。

 婚礼の儀式では,花婿役と花嫁役の本名が歌で歌われていましたが,本当に結婚式を挙げているわけではないので,これは演劇の舞台と見ることができます。女性たちに周りを囲まれて花嫁が着替えているところを花婿が覗いてしかられる場面もありましたが,そのときの動作や台詞までが伝統的に決まっているとも思えないので,この舞台での総稽古のときに考えたシナリオだろうな,と勝手に想像しました。

 後半の歌と踊りは,全員が乗りに乗っている感じで,愉快になりました。儀式の再現とは違って,いろんな機会に歌ったり踊ったりすることのある演目だからでしょう。一番前の席だったので,舞台の隅でいちばん年配の女性ふたりが,景気をつけるために何かを飲んでから踊りに参加するのが見えましたが,おそらく viin 「ウォッカ」だろうと思います。これも台本に書かれていたのかどうかは聞いてみないとわかりません。ちなみに,たとえば熊本県では,女性たちも宴会で焼酎を結構飲むようです。

 島の方言は,エストニア本土の人たちにもほとんど分からない独特のものと言われます。とくに母音が標準語と大きく違うようです。私は歌の歌詞からは部分的に単語が聞き取れただけでした。

Kihnu1s

Kihnu2s

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