エストニアのベストセラー
昨年(2009)エストニアでもっとも売れた本は,エストニア人の母親をもつフィンランド人女性作家 Sofi Oksanen (1977生) の『粛清』(Puhdistus, 2008) のエストニア語訳 Puhastus (同じく『粛清』)。
記事: Juhtkiri: raamatud, millest räägitakse (Postimees 2010/01/11)
売り上げ部数は 17000 と言うから,エストニア語を母語とする人口が約 100 万人 (日本語話者人口の100分の1以下) ということを考えて日本に置き換えてみると,170 万部売れたことに相当する。確かにたいへんなベストセラーだったことがわかる。
Sofi Oksanen (フィンランド語 Wikipedia)
Sofi Oksanen Puhastus. Kirjastus Varrak, 2009.
タイトルからもわかるように,エストニアの近過去からテーマを得ている小説で,もともと戯曲として書いたものを小説化したらしい。原作は,フィンランドの文学賞であるフィンランディア賞 (Finladia-palkinto, 2008) とルーネベリ賞 (Runeberg-palkinto, 2009) を受けた。
このほか,昨年のクリスマス商戦では,フィンランド人の歴史学者 Seppo Zetterberg の672ページの大作『エストニアの歴史』(Viron historia)のエストニア語訳も,あちこちの書店で売り切れるほどの人気だったという。
ソビエト体制が崩壊して20年近く経とうとしている今だからこそ,エストニア人たちは半世紀続いたソビエト体制とは何だったのかを解き明かす必要をより強く感じているはず。歴史ブームはまだまだ続くだろう。
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