体のパーツ(?)
エストニア語の「体のパーツ」の名前を教えてくれるページがあるというので見てみました。載っているのは「鼻」「手」「目」「腕」だけでのようでした。
ところで,単数形の käsi や silm を機械的に「かたて」「かため」と日本語に訳すのはいかがなものかと思うけれど,もっとびっくりしたのは「体のパーツ」という日本語(?)。こういう言い方をすると,鼻も手も目も取り替え可能な部品みたいに聞こえて,人間の体というより,ロボットの部品の話をしているみたいな気持になってきます。
英語の表現を作っている単語をひとつひとつ辞書にしたがって別の言語の単語に機械的に置き換えると,別の言語の表現になる式の乱暴な外国語学習法は,英語以外のことばをみんな破壊してしまうと思います。
念のために付け加えると,エストニア語の場合,単数形と複数形の使い方に少し理屈に合わない点ところがあります。次のように目の状態を話題にする文では,確かに複数形を使わないと,両方の目をさしません。
Nägin ta silmis pisaraid. 「彼(女)の目には涙が見えた」
Tal on silmad pisarais.「彼(女)の目は涙に濡れている」
でも,涙が話題になるときなど,両方の目が一組になっているときは,むしろ単数形になることが多いようです。
Pisarad tulevad silma. 「目に涙が浮かぶ」
Nägin presidenti silmast silma. 「大統領と目が合ってしまった」
2番目の文の場合,私は大統領とウィンクを交わしたことになりません。もちろん「片眼」などと訳すのは間違いです。
いずれにしても,ことばは理屈ではないところがあるので,ある言語でそう言えたからと言って,別の言語でそのまま言えると限らないなどと,まあ,いまさら繰り返す必要はないだろうと思います。
おっと,そうでした。英語でも,次の場合は目が単数形でしたね。
Beauty is in the eye of the beholder.
【補足】
この英語の日本語での定訳はあるんでしょうか。私は「あばたもえくぼ」かと思ったんですが,辞書を引くと Love is blind. の訳に当てるのが定着しているみたいですね。ちょっと格調が高すぎるのかな。
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